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エリ・ヴィーゼル『夜』

[新版] 村上光彦訳

エリ・ヴィーゼルは、ルーマニアの首都ブカレストの北西400キロ、ウクライナとの国境に接した町、シゲットで生まれました。シゲットの属するマラムレシュ地方はルーマニア領とハンガリー領のあいだを行き来した帰属の不安定な地域でした。もともとハンガリー領であった同地は、第1次世界大戦でのハンガリーの敗北とともにルーマニア領(一部はチェコスロヴァキア領)となり、さらに第2次大戦中の1940年、すなわちヴィーゼル11歳のときに、ドイツの後ろ盾によるウィーン裁定でふたたびハンガリー領となりました。つまり、この『夜』が帳を下ろす1944年にはハンガリーの領域にあり、ナチ党を模した反ユダヤ的民族政党、矢十字党の支配下にあったわけです。 また、マラムレシュ地方は、中世以来の生活がいまなお残る長閑な田園地方としても知られており、その素朴な木造聖堂群はユネスコの世界遺産にも指定されています。
http://whc.unesco.org/en/list/904/video

この田園に姿を現したナチスドイツ軍が、地獄の「夜」への幕を引きます。干し草と荷馬車の世界から「絶滅工場」アウシュヴィッツへ……。

「狂って冷たい世界――そこでは非人間的であることが人間的であり、規律正しく教養ある、制服に身を固めた人々が人殺しをしにやってくる一方、驚きのあまり呆然とした子どもたちや、力の尽き果てた老人たちが辿りついては死んでいったのであるがーーを発見したときのこと。炎の燃え立つ闇夜のなかで別れ別れになり、すべての絆がぷっつりと切れ、家族全体が、共同体全体が破れ裂けたときのこと。また、髪の毛は金色で悲しげな微笑を浮かべた、おとなしくて美しいユダヤ人の女の子が、母子が到着したその晩のうちに母親ともども殺されて消えうせたときのこと。どうしたら、そうしたことどもを想起しながら、手を震わせることなく、心臓が永久に断ち割られることなくすませられようか」 (ヴィーゼルによる新しいまえがき「新版に寄せる」より)

アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所の解放から、今年で65年。ホロコーストの記憶を痛いまでに淡々と証言する永遠の自伝小説を、ここに改訳でお届けします。




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