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ウィラ・キャザー『マイ・アントニーア』

佐藤宏子訳 〈文学シリーズlettres〉

『マイ・アントニーア』の著者、ウィラ・キャザーは20世紀アメリカ文学を代表する作家のひとりであり、1923年に女性で初めてピュリツァー賞を受賞したことでも知られています。数々の小説を発表し、1947年に亡くなるまで人気作家として活躍しますが、没後もその作品は愛されつづけ、版を絶やさず読み継がれています。なかでも『マイ・アントニーア』は代表作で、米国の国民文学ともいわれる作品です。

キャザーは1873年、いわゆる「西部開拓時代」のさなかにヴァージニア州のアパラチア山脈のふもとに生まれます。生家は牧羊農家でした。その後10歳のときに、『マイ・アントーニア』の舞台となるネブラスカ州に移住します。『マイ・アントニーア』で印象的なのは、多彩な人物描写とともに、繊細でダイナミックな情景描写です。それはキャザー自身のからだにしみこみ、血となり肉となった風景であればこそと思わせるものがあります。無学だけれども生きる力と愛する力に満ちた主人公アントニーアの魅力とともに、深く心に刻まれる風景が、ページのそこかしこに溢れています。

キャザーは、日本でも戦前からときおり翻訳が出されていましたが、最近はどういうわけかあまり馴染みのない作家になっていました。このたび、ひそかにキャザーを愛する人たちから刊行が待たれていた長編小説『マイ・アントニーア』の新訳を刊行いたします。訳者は、長年キャザーを研究してこられたアメリカ文学者で東京女子大学名誉教授の佐藤宏子さん。アメリカ文学者の西川正身さんと児童文学者の石井桃子さんを中心とするキャザーの読書会に参加したことが、キャザーと、特に本書『マイ・アントニーア』への関心を深めるきっかけになったとのことです。本書巻末の訳者あとがきでも触れられていますが、西川さん、石井さんのおふたりとも『マイ・アントニーア』を訳すことを考えておられたそうですが、かなわず他界され、今回の翻訳刊行は恩師ふたりのいわば遺志を引き継ぐものでもあります。巻末の解説には、石井桃子さんが所蔵しておられた、キャザーゆかりのネブラスカの町レッド・クラウドの写真を収録しました。

心のこもった親しみやすい新訳で、ぜひ広々とした、そして陰影深いキャザーの世界を堪能してください。




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