みすず書房

ピエール・ジャネ

Pierre Janet

1859-1947。パリに生まれる。フロイトとならぶ代表的心理学者。19世紀末、サルペトリエール病院でヒステリー、解離の心理学的治療に携わり、外傷性記憶、意識下固着観念、意識野の狭窄、交代性人格、心理学的エネルギー、心的緊張、心的傾向(人格)の階層構造など重要な諸概念を提唱。後年は、ヒステリーから強迫観念、精神衰弱の病理学的考察に視点を移し、それらの論考をコレージュ・ド・フランスで「社会的人格の研究」と題して講じている。
著書は、『心理学的自動症』(松本雅彦訳、みすず書房、2013)、『神経症と固着観念』、『心理学的医療』、『心理学的医学』(松本雅彦訳、みすず書房、1981)、『神経症』(高橋徹訳、医学書院、1974)、『心理学的力とその減弱』、『強迫観念と精神衰弱』、『症例 マドレーヌ』(松本雅彦訳、みすず書房、2007)、『被害妄想』(松本雅彦訳、みすず書房、2010)、『解離の病歴』(松本雅彦訳 みすず書房、2011)、『人格の心理的発達』(関計夫訳、慶応通信、1955)『信仰の病理』など多数。19世紀に登場した科学の動向に沿う形で、哲学とは独立した「心理学」を打ち立て、心の病の解明を心理学に求めようとした最初の人であった。