みすず書房

老年性精神疾患

精神医学 5

PSYCHIATRIE

判型 A5判
頁数 294頁
定価 6,600円 (本体:6,000円)
ISBN 978-4-622-02168-1
Cコード C3047
発行日 1992年11月12日
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老年性精神疾患

「この巻は進行麻痺と、老年性精神病である。今日前者はいわゆる先進国では殆ど見られなくなったが、原因、症状、経過、転帰、診断、治療まで、これほど判明した精神病は他にないので、精神病の分類と処置法の典型となり、精神病全般の分類の科学的方法の基礎となったものであり、クレペリンの創り出した早発性痴呆、躁うつ病もこれを手本にして作られたものである。こういう歴史的背景のほかに一層現代的意味もあるのであって、これから全世界の人類の存在の危険に重大なエイズによる精神病もそのうちに起こってくる筈であるから、未開地からの性病で全世界に分布するであろうものの先輩となる病気として大きな参考になるものであろう」(西丸四方、あとがきより)

クレペリン《精神医学》の第5冊。諸説粉々であった進行麻痺の原因を正しく梅毒と見抜いた著者は、老年期の精神疾患についても重要な貢献をなした。ある型の老年性痴呆が現在アルツハイマー病と呼ばれ、話題になっているが、そのアルツハイマーも、1903年から10年間をクレペリンの許で過ごした。本書はその期間に執筆されたものである。
〈汝の名は消えうせることあらんも、汝の業のみは存在すべし〉——クレペリンの墓石にはこう刻まれている。