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味と雰囲気

GESCHMACK UND ATOMOSPHARE


著者テレンバッハは現代ドイツの代表的な精神病理学者であり、さきに邦訳された著作『メランコリー』と二度の来日によって、わが国で広く知られている。
著者が味と雰囲気という主題に関心をいだいたのはメランコリー研究に専念していた頃、患者のしばしば訴える嗅覚や味覚の消失、また不快なにおいや味の知覚に注目したことに始まるであろう。記述的な病的体験論からやがて人間学的な基盤での研究にと進められ、エーディンガーの「口腔感覚」を内因精神病的変転の表現野として構成、「口腔感覚」と「雰囲気的なもの」との人間学的な関連や、それらが分裂病やメランコリーや内因精神病でどういう障害となって現われるかを考察している。幻味、幻嗅の問題、自己臭の問題への具体的な成果をふまえつつ、症例や芸術作品を通じて、新鮮な人間探求への角度を示している。嗅覚や味覚はカント以来、精神に遠い低次の感覚とされてきたが、まさにその理由によって、人と人の触れあいを支えている、より重要でありながら、かえって学問的には認識の欠落した部分であったと言える。ここに本書の示唆的かつ新鮮な理由があろう。


目次


日本の読者への序
雰囲気的なものという生きられる現実について

I 口腔感覚の現象学
「口腔感覚」という概念/口腔的識覚の精神病性変様に対する尺度の問題/口腔感覚における世界関連をさぐる方法/動物と環界の関係における発散性(自動性)および受容性(他動性)の意味での嗅ぐことの役割/人間の発達に対する口腔感覚の意義/口腔感覚的な世界関連における必然性と自由性(受容的―他動的に嗅ぐことと味わうこと)/「気分づける」においおよび味としての受容性口腔感覚の諸標識/探索的―規定的に嗅ぎそして味わうものとしての受容性口腔感覚の諸標識/審美的な構えと理論的な構えとのあいだの二者択一

II 味と雰囲気的なもの
味わうことと味覚との相互性/におうことと嗅ぐこと――雰囲気的な発散と雰囲気的な勘/雰囲気的なものにおける信頼の基礎/庇護するものとしての雰囲気的ななもの/自己関係の発展に対する雰囲気的なものの意義/ひろがるものとしての雰囲気的なもの/雰囲気的なものの宿命/雰囲気的なものを扱ううえでの方法的難点/精神医学における診断的標識としての味わい

III 危機的変転の前触れとしての雰囲気的なものの変化
危機と変転を媒介する雰囲気的なもの/聖なるものの雰囲気とサウロの改心/アリョーシャの危機と腐敗の雰囲気/イワン・カラマーゾフの二重身幻覚症が絶望の雰囲気化から由来すること/ストリンドベリの少年時代における雰囲気的なものの不協和――彼のパラノイド性誇大妄想の培地/L・ビンスワンガーの症例“ジュザンヌ・ウルバン”において妄想が世界の雰囲気化から芽生えること/雰囲気的圧倒の場での恒常的なもの

IV 病理的口腔感覚体験における精神病的に変化した雰囲気
口腔識覚の体験世界における精神病的雰囲気の透明性/内因性メランコリーにおける病的な口腔感覚体験/パラノイア性の自己臭精神病/分裂病性の自己変化および世界変化の媒体としての口腔感覚性/精神運動てんかんにおける口腔感覚と雰囲気的なものの役割/雰囲気化と意識状態

原注
訳者あとがき
文献
索引


著訳者略歴

フーベルトゥス・テレンバッハ
Hubertus Tellenbach

1914年ドイツのケルンに生れる。フライブルク、ケーニヒスベルク、ミュンヘンの各大学で医学と哲学を学ぶ。フライブルクでの哲学の師はハイデッガーであった。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
宮本忠雄
みやもと・ただお

1930年埼玉県に生れる。1954年東京医科歯科大学医学部卒業。精神医学専攻。1973年から自治医科大学教授。1999年歿。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
上田宣子
うえだ・のぶこ

1942年倉敷に生れる。1967年東邦大学医学部卒業。1968年東京医科歯科大学精神科入局。1970-72年ハイデルベルク大学精神科客員医師。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

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「味と雰囲気」の画像:

味と雰囲気

「味と雰囲気」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/232頁
定価 3,024円(本体2,800円)
ISBN 4-622-02318-0 C1011
1980年9月1日発行

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