みすず書房

心を探して

ブルーナー自伝

IN SEARCH OF MIND

判型 四六判
定価 6,600円 (本体:6,000円)
ISBN 978-4-622-03064-5
Cコード C1010
発行日 1993年7月2日
備考 現在品切
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心を探して

アメリカの心理学者ジェローム・ブルーナーの『思考の研究』(1956)は、1950年代後半に起こった〈認知革命〉の導火線であった。時は、人工衛星スプートニクの打ち上げと、それに続く、学問の世界的な拡張の時期である。哲学、言語学、心理学、そして情報科学における〈心〉と〈言語〉への関心の新しい潮流は、〈時代精神〉の大きなうねりを象徴していた。
本書は、まさにその波立つ大海を帆走したブルーナーの知的自伝である。知覚や思考の専門家が、自分の半生をどう認知するか——2歳まで盲目だったこと、ユダヤ人であること、新しい実験の興奮、著書の背景、結婚と離婚、2人の子供たちとの探検、ハーヴァードからオックスフォードへ大西洋をヨットで赴任したこと……
本書のもうひとつの魅力は、ブルーナーの交流の多彩さにある。ウィトゲンシュタインやヴィゴツキーの蓄積に学び、バーリン、ヤーコプソン、ライル、ピアジェ、そしてボーリングやオルポートとの交流から豊かな刺激を受けた半生の物語は、〈生きられた思想史〉の趣さえもつ。
これまで著者は日本では、教育心理学者としてのみ知られてきた。いくつもの顔をもつブルーナーの全貌が、いまはじめて明らかになる。そして本書は、心理学とは何かを理解したい人のための、最良の入門書になるだろう。