みすず書房

パレスチナ日記

NI GUERRA, NI PAZ

判型 四六変型
頁数 144頁
定価 2,530円 (本体:2,300円)
ISBN 978-4-622-03379-0
Cコード C0036
発行日 1997年4月16日
備考 現在品切
オンラインで購入
パレスチナ日記

作家の目にパレスチナはどう映ったか? 本書第一部「パレスチナ日記」には、インティファーダにおけるパレスチナ人の頑強な抵抗が描かれながら、その抵抗の源となる民族意識、土地への愛着とは何か、アイデンティティーとは何によって決定されるのか、という哲学的な問いがちりばめられている。
また第二部「戦争でも平和でもなく」では、和平協定の調印とその主役たちのノーベル賞受賞をうけて、世界のマスコミが楽観的な報道ばかりをおこなっていたときに、「苦い平和」とでもいうべきもの、すなわち戦争でも平和でもない状態へのフラストレーションがパレスチナ人のあいだに蔓延している事実を鋭く指摘している。故郷の村を破壊され、わが家に帰る夢を絶たれたまま、仕事もなく、将来への希望を持つこともできずに難民キャンプでの生活をつづける人々、彼らの生活を果たして平和の名で呼べるのだろうか。
その後のラビン暗殺、ネタニヤフ政権の成立とつづく動きは、ゴイティソーロの悲観的すぎる洞察を打ち消すどころか、逆にその正しさを証明するものとなっている。