みすず書房

敗戦日本の焼跡に、ロサンゼルス生まれの一人の青年が立っていた。彼はゆっくりと、自らの資質の存りかを探るように歩き始める——『思想の科学』を主な活動の場として、国際文化会館に勤務しながら、彼は精力的な執筆活動を開始していく。

ユニークな天皇論=写真論を扱う、一冊の評論集の刊行が計画されていたのだ。そして何よりも、決定的な転機をもたらした「ベトナム戦争」の衝撃は、生国アメリカと日本とアジアとの錯綜した構図へと目を開かせずにはおかなかった……現在なお新鮮な指摘に満ちた、著者初期20年の軌跡を集成する。

年長のイトコとして、著者の思想形成に多大な影響を与えた鶴見俊輔氏の、半世紀に及ぶ交流を振り返った貴重な解説を併収する。