みすず書房

「島尾伸三の写真は、あらゆる生物が生きているばかりでなく、事物自体も私達の気付かぬ種類の絶妙ともいうべき呼吸をしているのであって、彼が事物に語りかけると同時に事物自体も彼に語りかけている。
そのはじまりも、沈黙しきった終りも、ここにそのまま写し出されている。
事物の奴隷が全体世界の主人になること、これこそ写真家の一瞬であり全体である。」(埴谷雄高)

父・島尾敏雄にかかわる幼年期の回想、青年期にモンスーン地帯を旅しながらの思索など、エッセイと写真117点を収録。