みすず書房

日露戦争開始前後の時期。陸羯南は日露戦争を、文明と野蛮、黄色人種の立憲国と白色人種の専制国との間の戦争である、と主張する。日露の軍隊の士気の相違を立憲か否かという政治体制に関係づけて説明する論理、人種論に対して文明の普遍性を強調する傾向は、注目すべき意味を持っている。しかし多面では、中国・朝鮮への抑圧の論理にも転化した。近代国家へと成長しようとする、時代の試練を反映した社説。

[1972年12月初版発行]