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小津安二郎と戦争<品切>

著者
田中眞澄

「支那の老婆が部隊長のところに来て云ふ〈自分の娘が日本のあなたの部下に姦された〉部隊長〈何か証拠でもあるのか〉老婆 布を差し出す/〈全員集合〉部隊長は一同を集めて布を出し〈この布に見覚えがあるか〉〈ありません〉〈次〉〈ありません〉一人づゝ聞いてまわる。最後の一人まで聞きおわると静に歩みより〈この部隊には御覧の通りいない〉老婆 頷く/抜き打ちに老婆を切りすてる。おもむろに刀を拭ひ鞘に納める。全員に分れ」(「陣中日誌」より)

1937年9月―1939年7月、一下士官として中国大陸で従軍。1943年6月には軍報道部映画班としてシンガポールに赴任、終戦の日を同地で迎える。これは小津安二郎が戦争と直接関わりをもった時間の総量だが、いわゆる「支那事変」時の「従軍日記」が生涯の日記のなかでもっとも緻密で濃密な記述に満ちていることは、ご存じの方も多いだろう(「戦地からの手紙」とともに小社刊『小津安二郎「東京物語」ほか』に収録)。「しかし、彼はじつは日記のほかにもう一冊のノートを残していた」。本書第II部で全文公開の「陣中日誌」である。

山中貞雄の遺文に触発されて書き綴られた戦場スナップ「撮影に就ての《ノオト》」、火野葦平『土と兵隊』を批判した読書ノート、対日本兵工作員用のパンフレットをまるごと筆写した「対敵士兵宣伝標語集」ほか、「戦争という人間の頽廃の危機」のただなかで、非人称のカメラさながらすべてを記録にとどめようとする強靭な意志に貫かれている。しかも「従軍日記」とは「重ならない内容のほうが多い。日記と相補う形で、戦場の小津安二郎軍曹の見聞と思考を記録し、体験を伝える貴重な資料」なのである。

戦場とは何か。軍隊とは何か。小津安二郎の「戦争体験」とは何だったのか。新資料を発掘・提示しながら解き明かされる人間ドキュメント。


目次


I
大正映画少年
べス単とマンドリン/稚児事件のころ/セヴンティーンの鑑賞記録
戦争と人間
三十三歳の出征/慰安所心得左の如し/チョコレートと兵隊
新嘉坡好日
一九四五年八月十五日/連句とモンタージュ

II
小津安二郎陣中日誌
読書ノート/対敵士兵宣伝標語集/撮影に就ての《ノオト》/MEMO/住所録
解説

あとがき


著訳者略歴

田中眞澄
たなか・まさすみ

1946年北海道に生まれる。慶應義塾大学文学研究科修士課程修了(国文学専攻)。映画史研究家。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「小津安二郎と戦争」の画像:

小津安二郎と戦争

「小津安二郎と戦争」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/256頁
定価 3,024円(本体2,800円)
ISBN 4-622-07148-7 C1074
2005年7月22日発行
<ただいま品切です>