みすず書房

『悪霊』神になりたかった男 電子書籍あり

理想の教室

判型 四六判
頁数 168頁
定価 1,430円 (本体:1,300円)
ISBN 978-4-622-08301-6
Cコード C1398
発行日 2005年6月9日
電子書籍配信開始日 2013年4月1日
備考 現在品切
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『悪霊』神になりたかった男

ドストエフスキーの全作品でもっとも危険とされる「スタヴローギンの告白」(小説『悪霊』より)。作家の全人格が凝集されているこのテクストには、人間の〈堕落〉をめぐる根源的ともいえるイメージが息づいています。文学のリアリティとは、人間の可能性とは? 一人の男がさまよいこんだ精神の闇をともに探究してみましょう。

目次

テクスト——「告白」(ドストエフスキー『悪霊』より)

第1回 なぜ『悪霊』なのか
はじめに/『罪と罰』——憑依の体験/動機——なぜ『悪霊』なのか/『悪霊』とはどんな小説か/「告白」の位置/小説の起源——ネチャーエフ事件/ペトラシェフスキー事件——過去の記憶/革命に未来はあるか/解かれた封印、浮かび上がる苦闘/「われらがサド」——アンナ夫人のジレンマ/校正刷か、筆写版か——翻訳テクストの起源

第2回 「神」のまなざし
「告白」とポリフォニー/壊れた文体/一つの仮説/告白文学に託されたもの/四つの罪/「恐怖」が意味するもの/神の不在と一滴の涙/十四歳、危険な年齢、閉ざされたドア/マトリョーシャは涙を流さない/再びサド

第3回 少女はなぜ死んだのか?
象徴とリアリティ/「奇跡」を求めて——スタヴローギンの世界遍歴/黄金時代の夢/ルソーのプリズムを通して——少年時代のスタヴローギン/ルソー、折檻、『告白』/「何か奇妙な声で」——快楽の正体/マトリョーシャの分身たち/「告白」と「遺言」の間、または「屋根裏部屋」という棺/『悪霊』と現代——個人的な体験

主要参考文献