みすず書房

グレン・グールド発言集【新装版】

THE ART OF GLENN GOULD

判型 A5判
頁数 488頁
定価 7,040円 (本体:6,400円)
ISBN 978-4-622-08657-4
Cコード C1073
発行日 2017年12月7日
備考 現在品切
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グレン・グールド発言集【新装版】

グレン・グールドがこの世を去ってから35年、バッハの《ゴルトベルク変奏曲》を最初に録音してから60年以上が過ぎた。にもかかわらず、スピーカーからグールドの弾くピアノの音が流れ出すときわれわれの心は連れ出されてしまう。
いったい、この不世出のピアニスト=音楽家は、どのようにものを考え、演奏と表現を実践して、こんな独異な音楽を生み出したのだろう。本書にその答がある。

これまで刊行した『グレン・グールド著作集』『グレン・グールド書簡集』につづいて、本書に収められたのは、入手困難なインタヴュー、テレビ・ラジオ番組のための台本、未完・未定稿のまま残されたテキストなど、46編にのぼる。
バッハ、ベートーヴェン、ブルックナーなどの作曲家論、リヒテル、ワイセンベルク、ビル・エヴァンズなどのピアニスト論から、「創造プロセスにおける贋造と模倣の問題」「電子時代の音楽論」や、マクルーハンとの対話「メディアとメッセージ」まで、どこを読んでも、グールドの面目躍如、その魅力は比類がない。
日本におけるグールド研究の第一人者による、この日本語版は、遺稿「私にとって録音プロセスとは何を意味するか」を独自に加え、文献目録・註を増補、さらに貴重な写真資料も入った決定版である。

[初版2005年9月9日発行]

目次

はじめに(ジョン・P・L・ロバーツ)

前奏曲
1 思い出はぞんざいに扱うべからず、あるいは、記憶の中のトロント・シンフォニー(1972年・遺稿)

インタヴュー 1
2 私は自然児です(1959年)

敬愛する音楽家たち
3 ヨーゼフ・クリップスを讃えて(1977年)
4 スヴャトラフ・リヒテル(1978年頃)
5 ヘルベルト・フォン・カラヤン(1968年)
6 アレクシス・ワイセンベルク(1977年)
7 クラウス・オーガーマンとビル・エヴァンズ(1977年)

インタヴュー 2
8 アット・ホーム・ウィズ・グレン・グールド(1959年)

バッハ父子、ベートーヴェン、ブルックナー
9 バッハの普遍性(1961年)
10 頑固者バッハ(1962年)
11 バッハ演奏の進化(1977年)
12 カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ(1968年)
13 純然たるベートーヴェンと編曲されたベートーヴェン(1968年)
14 ベートーヴェンといたずら書き(1967年)
15 ベートーヴェンの《悲愴ソナタ》——別の見方(1967年頃・遺稿)
16 ベートーヴェンの《ハンマークラヴィーア・ソナタ》(1971年)
17 ベートーヴェンの《テレーゼ・ソナタ》(1968年)
18 ベートーヴェンの偉大さ(1961年)
19 ブルックナー(1977年)

インタヴュー 3
20 ピアニストのままならぬ作曲活動(1959年)

ギボンズからサッリネンまで
21 ギボンズの讃美歌〈このように天使たちは歌い〉(1977年)
22 モンテヴェルディ、マントヴァの権勢(1968年)
23 メンデルスゾーンを讃えて(1977年)
24 ついにショパンとメンデルスゾーンを弾く(1970年)
25 ロシアの四人の作曲家たち(1963年)
26 シェーンベルクの遺産(1962年)
27 シベリウスとサッリネン(1977年)

インタヴュー 4
28 引退願望、作曲家への夢(1962年)

インタヴュー 5
29 ロシアに向けて語る(1964年)

芸術とメディア
30 創造プロセスにおける贋造と模倣の問題(1963年)
31 電子時代の音楽論——名誉博士号授与に答えて(1964年)
32 メディアとメッセージ——マーシャル・マクルーハンとの対話(1965年)
33 変奏の哲学(1964年)

インタヴュー 6
34 異才ピアニストの挑発的な洞察(1980年)

駆け足の回顧
35 六〇年代の音楽(1970年)

いくつかの共演
36 デュオ——ユーディ・メニューインとの対話(1966年)
37 ヘレン・ヴァンニとジュリアード弦楽四重奏団(1969年)

バッハからシェーンベルクへ
38 バッハとシェーンベルクの舞曲(1969年)
39 ヴァーグナーを編曲する(1973年)
40 シュトラウスの《カプリッチョ》と《メタモルフォーゼン》(1977年)
41 モーツァルトとヒンデミットをめぐって(1966年)
42 シュトラウス=シェーンベルク演奏会(1963年)
43 シェーンベルクの《ナポレオン・ボナパルトへの頌歌》(1967年)

インタヴュー 7
44 エクスタシーの重要性(1981年)

インタヴュー 8
45 録音アーティストとしての二十年(1981年)

終曲
46 私にとって録音プロセスとは何を意味するか(1982年・遺稿)

編者あとがき
訳者あとがき


文献目録
索引