みすず書房

通訳学入門【新装版】

INTRODUCING INTERPRETING STUDIES

判型 A5判
頁数 312頁
定価 6,050円 (本体:5,500円)
ISBN 978-4-622-08914-8
Cコード C1080
発行日 2020年4月2日
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通訳学入門【新装版】

幾世紀にもわたって行われてきた通訳という営みは、20世紀に入りようやく専門職として登場し、最近になって独自の学術研究対象となるに至った。本書によって、学生も研究者も現役通訳者も「通訳学」という急速に発展している分野に導かれる。
通訳分野の中心的存在であるポェヒハッカーによって書かれたこの『通訳学入門』は、国際会議通訳からコミュニティ通訳、音声通訳から手話通訳まで多彩な通訳形態を網羅している。
本書はまず通訳分野の進展を扱い、影響のあった概念、モデル、方法論的アプローチを検討する。その上で、通訳に関する主要研究分野を提示し、通訳学における現在から将来への流れを確認する。
各章に要点が提示され、さらなる研究へのアドバイスも付されたこの本は、実用的で使いやすい教科書であり、今後さらに発展していく通訳学という重要な分野の、最も信頼できる地図である。

「『通訳学入門』は通訳研究全般への最高レベルの入門書である。信頼できる情報が明晰かつ読者を引きつける文体で書かれている。通訳教育者や研究者には必読の書であり、現代世界における異言語間、異文化間のコミュニケーションに関心のある誰にとっても価値のある書である」
——マイケル・クローニン

カバー画:斉藤典彦「彼の丘」(2006年)
[初版2008年9月10日発行]

目次

謝辞
凡例

『通訳学入門』への入門

第I部 基礎編
第1章 通訳という概念
1.1 概念的なルーツ
1.2 通訳の定義
1.3 通訳が行われる場と通訳の種類
1.4 類型化へのパラメータ
1.5 通訳研究の領域と諸相

第2章 通訳学の発展
2.1 社会的な職業としての基盤
2.2 新たな地平の開拓:通訳者と心理学者
2.3 学術的な基盤を形成する
2.4 再生と新たな出発
2.5 通訳学の確立と統合
2.6 21世紀の通訳学

第3章 アプローチ
3.1 学問分野的な視座
3.2 通訳のミーム
3.3 方法論

第4章 パラダイム
4.1 「パラダイム」という考え
4.2 パラダイムを構築する
4.3 通訳を実験する
4.4 科学を希求する
4.5 視座を拡げる
4.6 相互行為への焦点化
4.7 多様性の中の統一

第5章 モデル
5.1 モデル構築について
5.2 社会・職業的モデルと制度的モデル
5.3 相互行為モデル
5.4 プロセス・モデル
5.5 モデル、検証、応用

第II部 研究
第6章 プロセス
6.1 バイリンガリズム(二言語併用)
6.2 同時性
6.3 理解
6.4 記憶
6.5 言語産出
6.6 入力変数
6.7 方略

第7章 訳出物と訳出行為
7.1 ディスコース
7.2 起点—目標の対応
7.3 効果
7.4 役割
7.5 質

第8章 専門職としての実践
8.1 歴史
8.2 通訳の場
8.3 基準
8.4 能力
8.5 テクノロジー
8.6 エコロジー
8.7 社会学

第9章 教育方法
9.1 カリキュラム
9.2 選抜
9.3 指導
9.4 評価
9.5 メタ・レベル訓練

第III部 方向性
第10章 指針
10.1 動向
10.2 展望
10.3 通訳学へのオリエンテーション

監訳者あとがき
参考文献
インターネット・リンク
事項索引
欧文人名索引
欧文組織名索引