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『ロック・エンサイクロペディア』

1950s-1970s フィル・ハーディ/デイヴ・ラング編 三井徹訳

この本の原書(全3巻・三分冊)がイギリスで出たのは今から33年前の1976年ですが、その後も、その包括的な視点と執筆水準ということでは、これを凌ぐロック百科事典は出ていないのではないでしょうか。
i. 〈創造の現場では、アーティスト、作詞作曲者と並んで、レコード会社の幹部、プロデューサー、エンジニア、興行者など、多様な関係者が厚い層をなして創作にかかわっている〉、
ii. 〈「ロック」を知るためには、その前史と同時代の広範な音楽状況を視野に入れてはじめて、その全貌が見えてくるのである〉。
こうした視点が徹底して貫かれている点が、ものすごく時代を先取りしており、驚くばかりです。
原書が刊行された年は、パンクの出現、ニューウェイヴの登場と、その後のロックの歴史が大きく変化していく節目の頃にあたり、その意味でも、ロック誕生から黄金期までをちょうどカバーした、軸の明確な、存在感を持った一書となっています。

この本は、原書の第1巻と第2巻が、かつてサンリオから『ロック百科』vol. 1, 2として刊行されています(1981年)。しかし、第3巻は未刊でした。今回、第3巻を増補した改訂新版を出すに際し、旧版該当部分は改訳を行っています。また、旧版では無かった「人名・グループ名総索引」(6400項目)と「事項索引」を付けています。
構成:(1) ロックンロールの時代(1950年代)/(2) リヴァプールからサンフランシスコまで(1960年代)/(3) 70年代のサウンド(1975年まで)。

本文記述では、執筆者の個性がよく出ており(総勢45名)、ロック以外の知識も豊富なので読ませます。時代の渦中で、まだ評価が定まっていない対象に、徒手空拳に近い状況から批評の言葉が紡がれている緊張感など、同時代のドキュメントとして手応えのある書きぶりとなっています。機知やユーモア、メタファーの面白さは、編者が英国人であり、執筆陣も英国人が中心ゆえのことでしょう。

ロックを中心に、同時代のポピュラー音楽の座標平面全てを網羅した“読むエンサイクロペディア”、堪能して戴ければ幸いです(ブルース、ジャズ、R&B、ソウル、ファンク、フォーク、ポップやルーツ・ミュージックへの言及の充実ぶりが圧巻です)。今後のミュージック・ライフがさらに豊かになるかと思います。「ロック」の鉱脈、正に恐るべし! ここで、今まで知らなかった音楽家との、数多くの素晴らしい出会いがあることでしょう。




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