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トピックス

中井久夫『臨床瑣談』

「虹の色と精神疾患分類のこと」「院内感染に対する患者自衛策試案」「昏睡からのサルヴェージ作業の試み」「ガンを持つ友人知人への私的助言」「SSM、通称丸山ワクチンについての私見」「軽症ウイルス性脳炎について」。「患者」や「私見」などの言葉をおさめたやや長めの章題からなる『臨床瑣談』は、現実の生活であれ心の中の生活であれ、われわれが日々、おもに不安感を介して接しているリアルなテーマに正面から向き合っている。

読者の側も多様な読み方ができるだろう。病気で悩んでいる人や家族、知人、医師や看護師にとっては、実用的な助言として、医療関係者にとっては医学倫理の書、あるいは現代医療のあり方を考える契機として読まれるだろう。いっぽうで、医学をテーマに直接印刷されている文字から、著者の現代日本社会についての診断、グローバリズム批判から、はては有史以来連綿とつづいてきた人類の功罪を読み取ろうとする読者もいるだろう。

著者は「この本は病名を告知された患者側ができる有効なことを主にしている」と「まえがき」に記していて、本書のアクセントはたしかにそこにある。しかし、患者側の立場にたって考えるというのは簡単にできることではなく、医師にとってそれはマイナスになることもあるだろう。じっさい、著者の視点は多面的で奥行きがあり、さまざまな要素が盛り込まれたその全体が、著者のいう「精神科医」である。そこには独自のリアリズムがある。だから著者のことばからは、治療や診断に向けた実用的な効果、こころの安全保障感、さらには考えるヒントが生まれるのだろう。

どのようなきっかけからにせよ『臨床瑣談』をひもとかれた読者は、つぎに、小社から数冊刊行されている著者のエッセイ集にすすんでいただきたいと思う。

書評と近刊ご紹介

毎日新聞2008年9月28日(日)の読書面「今週の本棚」に、中村桂子氏による『臨床瑣談』の書評と、斎藤環氏の選による「この人・この3冊 中井久夫」が大きく掲載され、MAGAZINE欄下のコラムにも本書のことが特筆されました。
この11月には、新しいエッセイ集『日時計の影』が刊行される予定です。どうぞ楽しみにお待ちください。




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