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秋庭史典『あたらしい美学をつくる』

著者が最後にほんとうに言いたかったことがある。 「文系/理系という区別は有害です」

文系/理系の区別がどこかにあると思いこまされていて、他方は学ばなくてもよいという誤解が社会にはたしかにある。とくに、大学受験期に文系/理系と分けて、自然科学や数学を必ずしも学ばなくてもよいコースを設けることで、若い人たちから可能性を奪っている、と。

「かつて人が、宗教の外にも真理があるはずと気づいたとき、その真理をさまざまなところに求めました。そのとき、文理の別なんて、誰が考えたでしょう。自然そのものに向かった自然科学者や技術者、自国語や外国語に向かった文学者や言語学者、地層に向かった考古学者、過去に向かった歴史学者、遠くアジアに向かった人類学者や地理学者、誰であろうと動機はみな同じ、ただただ、人間や自然についてほんとうのこと、ほんとうに大事なことを知りたかったに尽きます」

なにか大事なことに手を出さなかったと、あとから気づくのはつらい。
大人になってしまった自称文系人間は、どうしたらよいだろう。

「せめてひとつの自然科学分野の傍らにいること」

その基本的な考えを理解し、そこから自然や、自然のなかでわたしたちがどう生きるべきかを考えさせる入り口を、すなわち美のありかを見つけられるよう、つねにその傍らにいて準備しておくこと。
そうだ、植物学でも天文学でも精神医学でも生物学でも、「入り口」をひとつ準備しておくことが美への入り口にもなるのだ。

「あるところまでなら、必ず、時間をかければ理解できるはずです」

何歳になっても、大事なことは知りたい。本書は生きるうえで知とは何か、美はどこにあるのかという、本質的なことを突きつける。
学生に語りかけるようなわかりやすい文体で書かれているからなおのこと、本書の思考における誠実さ、その迫力は、稀有である。




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