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トピックス

『トランスレーション・スタディーズ』

佐藤=ロスベアグ・ナナ編

1970年代に西欧で生まれたトランスレーション・スタディーズは、80年代に大きく展開し、こんにちEUのヨーロッパで、多言語社会の北アメリカやオーストラリアで、またアフリカ、アラブ、そしてアジアでも、学際性の最先端にたち注目をあつめている。

これまで「翻訳学」や「翻訳研究」の訳語があてられることのあった学問領域を、なぜカタカナ書きで。理由は「序」に編者が説明している。

「日本ではまだ聞き慣れない比較的新しい学問の全景が見える前に、訳語によって何がしかの色をつけてしまうのを回避したいという思いからである。」

「たとえば、英語のtranslationは通訳をも含意しており、実際に西欧で展開しているトランスレーション・スタディーズには、異論もあるが通訳領域も含まれている。また、翻訳、そして通訳という枠を超えて、trans-という言葉の語源には「越えて、横切って、貫いて」などの意味が含まれる。一方、中国語起源の日本語である「翻訳」の語源には〔……〕「~に変える」という意味が含まれ、translationの語源と照らし合わせれば、その行為に対する認識の相違を見ることができるし、翻訳とtranslationの語源の違いは、それぞれの文化圏の中で同等とされる行為(翻訳)が背負っている文脈の異なりを示唆している」(序、p. ii)。だから、仮にまずカタカナ書きにしたままで、トランスレーション・スタディーズの広い地平を見晴らして、深呼吸してみたい。この本の別のところには、こんな一文もある。「翻訳論には国籍があると言ってよい」(坂井セシル、p. 99)。

他者を、異文化をいかに理解するか。翻訳とは、「可能性を開くこと」、「異なる言語間に生じるコミュニケーションの問題を解決し、この意味において翻訳はアクセスを可能とし、扉をあけ、橋を架けるのである」(ヘルマンス・テオ、p. 4)。近世・近代日本の異文化接触から、世界文学空間のなかに流通するフランス・ドイツ・中国語圏の村上春樹、文化翻訳と日系カナダのディアスポラ文学、ゲーム翻訳、アイヌの口承文化の翻訳、グローバル化の時代にもはや猶予はない医療通訳・法廷通訳をふくむコミュニティ通訳の現状と課題。さらに、日本でのトランスレーション・スタディーズの真に豊かな展開の行方をさぐって、金平糖のように色とりどりの輝きを放つ論集をつくりたい、という編者の思いに13論考が真正面から応えている。

国際シンポジウム「トランスレーション・コミュニティ」開催

Translation Studies国際シンポジウム「トランスレーション・コミュニティ――多元・多文化・多目的 II」が、2011年11月6日(日)、愛知淑徳大学星ヶ丘キャンパスを会場に開かれます。論集『トランスレーション・スタディーズ』のおおもとになった日本で初めてのトランスレーション・スタディーズ国際会議「日本における翻訳学の行方Translation Studies in the Japansese Context」(2010年1月9・10日)につづく開催です。
招待講演は、作家・詩人・翻訳家の池澤夏樹氏「山浦玄嗣の『ケセン語訳 新約聖書』――翻訳は誰と誰をつなぐのか」。そして「翻訳とコミュニティ」「詩を翻訳する」「メディア翻訳」の3パネルで、多岐にわたりアクチュアルな9発表がおこなわれます。
関西トランスレーション・スタディーズ研究会 http://translationstudies.net/kansai/IS2011.pdf
佐藤=ロスベアグ・ナナ/渡辺公三編『日本における翻訳学の行方』生存学研究センター報告15 http://www.arsvi.com/b2010/1012sn.htm




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