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レヴィ=ストロース『神話論理』完結

IV-2 『裸の人』2 [2010年2月25日刊行]
吉田禎吾・渡辺公三・福田素子・鈴木裕之・真島一郎訳

『裸の人』2の刊行をもちまして、クロード・レヴィ=ストロース『神話論理』が全巻完結いたしました。長い間お待ちいただき、たくさんのご支援をいただきましてまことにありがとうございました。

原著刊行から四十年越しのシリーズ完結となりました。フランス語版第 I 巻の出版は1964年、小社はその二年後に日本語版版権を取得しています。『野生の思考』(1976年)の名訳で知られる故・大橋保夫先生に、『野生の思考』の次に翻訳をお願いする予定だったときいています。構造主義が日本に本格的に紹介されつつあった当時、訳者は大橋先生をおいて考えられませんでした。
大冊のため共訳のチームが組まれ、じっさいに『野生の思考』の直後から翻訳が始まりました。しかし原著者の文章をつかみとる困難に加えて、訳語や文体をめぐる訳者間相互の厖大な調整、その上に諸事情も重なって、ようやく大橋訳「序曲」が月刊『みすず』に掲載されたのが1992年初頭のことでした(『みすず』1992年1月号・2月号に分載)。
全巻の翻訳態勢を見直し再スタートという矢先に、大橋先生は急逝なさいましたが(1998年)、動き出したプロジェクトは巨大な車輪が少しずつ回るように前進しました。第 I 巻・第 II 巻を単独訳された早水洋太郎先生は、大橋保夫先生門下です。第 III 巻と第 IV 巻1・2では、吉田禎吾先生・渡辺公三先生・木村秀雄先生を中心とする共訳になっていることはごらんのとおりです。それにしてもさらに年月がかかったのは、総力を結集して翻訳にのぞんでも、生い茂る神話の森の奥深くまでレヴィ=ストロースの踏み跡を見通すのはとてもむずかしいことだったからです。

邦訳全5冊、訳書にして本文だけで2480ページにおよぶ大著です。けれども第 I 巻のはじまりにおかれた「序曲」で著者自身が述べているように、神話じたいに語らせるためには(「ある意味では、神話たちはお互いに考え合っている、と想定すべきであろう」『生のものと火を通したもの』20ページ)――、また「終曲」で明言されたように、われわれ(nous)と名のることでこの本の主体を「匿名的思考にさしだされた実体なき場たらんと」するためには(『裸の人』2、783ページ)――、そしてこのたび最終巻の「訳者あとがき」に書かれたように、『神話論理』の探求そのものがレヴィ=ストロース自身の、真新しい世界を前にした知的ブリコラージュの試みであったなら、この長さはどうしても必要とされる分量だったのではないでしょうか。

著者レヴィ=ストロース氏の生前に日本語版をお目にかけることは叶いませんでしたが、これまでさまざまに支えてきていただきました読者のみなさま、関係者のみなさまに、もういちど、心から感謝申し上げます。




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