みすず書房

アントワーヌ・ベルマン

Antoine Berman

1942年生まれ。フランスの翻訳理論家・翻訳家。1967年から詩誌『ラ・デリラント』を共同で主宰する。1970年代以降は中南米スペイン語・英語・ドイツ語の文学を中心に多数翻訳を手がけ、詩と翻訳の経験を踏まえた研究を1984年に『他者という試練』として上梓し、翻訳学の構想を世に問う。本書は「自民族中心主義的翻訳」を批判するための理論構築などの点で翻訳研究に寄与する一方、他者論の文脈において受容され、また文学や哲学と翻訳との本質的なかかわりに対する基礎的理論を提供するなどした。パリ・国際哲学コレージュやジャック・アミヨ・センターでのセミナーならびに雑誌での論文発表を行なうなか病に倒れ1991年死去。ジョン・ダン詩篇の翻訳に関する研究を通して新たな展開を見せつつあった翻訳批評の試みが1995年に『翻訳作品の批評のために:ジョン・ダン』として、またセミナーの一部が『翻訳と文字 あるいは彼方のもののための宿』として1999年にそれぞれ出版されている。