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テクストの快楽

LE PLAISIR DU TEXTE


現代において、ロラン・バルトはもっとも創造的で、知的刺戟に富んだ批評家である。1973年に刊行された本書で、彼は、テクストと快楽・悦楽との関係を、アフォリズムに似た断章のかたちで探究している。つねに転位してゆくバルト的批評の現在を示すと同時に、本書はまた、バルト独自の、ユニークな「読書の詩学」でもある。

「われわれは、テクストについて何を知っているか。最近、理論がこれに答え始めた。しかしまだ、一つの問題が残っている。われわれはどのようにしてテクストを楽しむかという問題が。

この問題を課さねばならない――たとえ戦術的な理由だけでしかないとしても。科学の公平無私、イデオロギー的分析のピューリタニズムに対して、テクストの快楽を確立しなければならない。文学の単なる娯楽化に対して、テクストの悦楽を確立しなければならない。

どのようにして、この問題を課すか。悦楽の特質は語り得ない所にある。だから、断章の無秩序の連続に身を委ねなければならなかった。眼に見えない構図の切子面、鍵盤、泡、巻紙。単なる問題の提出、テクスト分析の学問外的ひこばえ。」(ロラン・バルト)


「テクストの快楽」の著訳者:

ロラン・バルト
Roland Barthes
1915年フランスのシェルブールに生まれ、幼年時代をスペイン国境に近いバイヨンヌに過す。パリ大学で古代ギリシア文学を学ぴ、学生の古代劇グループを組織。結核のため1941年から5年間、スイスで療養生活を送りつつ、初めて文芸批評を執筆する。戦後はブカレストとアレクサンドリアでフランス語の講師、その間に文学研究の方法としての言語学に着目、帰国後、国立科学研究センター研究員、1954年に最初の成果『零度のエクリチュール』(邦訳、みすず書房、1971)を発表。その後、エコール・プラティック・デ・オート・ゼチュードの〈マス・コミュニケイション研究センター〉(略称セクマ)教授を経て、1977年からコレージュ・ド・フランス教授。1980年歿。著書は他に『ミシュレ』(1954、みすず書房、1974)、『神話作用』(1957、現代思潮社、1967)、『ラシーヌ』(1963)、『エッセ・クリティック』(1964、晶文社、1972)、『記号学の原理』(1964、みすず書房『零度のエクリチュール』に併収。1971)、『批評と真実』(1966)、『物語の構造分析』(1966、みすず書房、1979)、『モードの体系』(1967、みすず書房、1972)、『S/Z』(1970、みすず書房、1973)、『旧修辞学』(1970、みすず書房、1979)、『表徴の帝国』(1971、新潮社、1974)、『サド、フーリエ、ロヨラ』(1971、みすず書房、1975)、『新=批評的エッセー』(1972、みすず書房、1977)、『彼自身によるロラン・バルト』(1975、みすず書房、1979)、『恋愛のディスクール・断章』(1977、みすず書房、1980)、『第三の意味』(1982、みすず書房、1984)、『明るい部屋』(1980、みすず書房、1985)等がある。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
沢崎浩平
さわさき・こうへい
1933年東京に生まれる。1957年東京大学文学部仏文学科卒業。1966年東京都立大学大学院博士課程修了。元東京都立大学人文学部教授。1988年歿。訳書 バルト『S/Z』(みすず書房、1973)、バルザック『セラフィタ』(国書刊行会、1976)、バルト『旧修辞学』(みすず書房、1979)、『第三の意味』(みすず書房、1984)、『美術論集』(みすず書房、1986)、シャルレティ『サン=シモン主義の歴史』(共訳、法政大学出版局、1986)、クリステヴァ『ポリローグ』(共訳、白水社、1986)ほか。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「テクストの快楽」の画像:

テクストの快楽

「テクストの快楽」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/168頁
定価 2,205円(本体2,100円)
ISBN 4-622-00471-2 C1098
1977年4月8日発行

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