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恋愛のディスクール・断章

FRAGMENTS D’UN DISCOURS AMOUREUX


「恋するわたしは狂っている。そう言えるわたしは狂っていない。わたしは自分のイメージを二分しているのだ。自分の眼にわたしは気のふれたものと映る(わたしは自分の錯乱のなんたるかを識っている)のだが、他人の眼にはただ変っているだけと映るだろう。わたしが自分の狂気をいたって正気に物語っているからだ。わたしはたえずこの狂気を意識し、それについてのディスクールを維持しつづけている」
ロラン・バルトと恋愛、これはまことに魅力的な組み合せである。複雑微妙な恋愛の諸相を分析し、その内的宇宙を開示するのに、彼以上の適任者はいないであろう。本書は、バルト自身の体験をはじめ、友人との会話、『若きウェルテルの悩み』からニーチェ、ラカン、禅など、さまざまなテクストを自在に引用、あるいは潜ませて展開されている。不在、共苦、肉体、沈黙、夜など、バルト一流の断章形式によって十全に表現された、これら恋する者たちのディスクール=エッセーはまさに、恋愛にかんする詩的な百科全書、現代の〈恋愛論〉といってもよかろう。


「恋愛のディスクール・断章」の著訳者:

ロラン・バルト
Roland Barthes
1915年フランスのシェルプールに生まれ。幼年時代をスペイン国境に近いバイヨンヌに過す。パリ大学で古代ギリシア文学を学び、学生の古代劇グループを組織。結核のため1941年から5年間、スイスで療養生活を送りつつ、初めて文芸批評を執筆する。戦後はブカレストとアレクサンドリアでフランス語の講師、その間に文学研究の方法としての言語学に着目、帰国後、国立科学研究センター研究員、1954年に最初の成果である『零度のエクリチュール』(邦訳、みすず書房、1971)を発表。その後、エコール・プラティック・デ・オート・ゼチュードのくマス・コミュニケイション研究センター〉(略称セクマ)教授を経て、1977年からコレージュ・ド・フランス教授。1980年歿。邦訳されている著書は他に『神話作用』(現代思潮社)、『エッセ・クリティック』(晶文社)、『表微の帝国』(新潮社)、『ミシュレ』『物語の構造分析』『モードの体系』『S/Z』『旧修辞学』『サド、フーリエ、ロヨラ』『新=批評的エッセー』『テクストの快楽』『文学の記号学』『第三の意味』『バルト、<味覚の生理学>を読む』『明るい部屋』『美術論集』『作家ソレルス』『テクストの出口』『言語のざわめき』『記号学の冒険』(以上、みすず書房)等がある。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
三好郁朗
みよし・いくお
1939年生。京都大学大学院(仏文学専攻)中退。現在、京都嵯峨芸術大学学長。訳書 クロード・レヴィ=ストロース日本講演集『構造・神話・労働』(共訳、みすず書房、1979)ほか。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「恋愛のディスクール・断章」の画像:

恋愛のディスクール・断章

「恋愛のディスクール・断章」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/384頁
定価 3,990円(本体3,800円)
ISBN 4-622-00482-8 C1098
1980年9月24日発行

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