みすず書房

〈子供〉の誕生

アンシァン・レジーム期の子供と家族生活

L’ENFANT ET LA VIE FAMILLIALE SOUS L’ANCIEN REGIME

判型 A5判
頁数 456頁
定価 6,380円 (本体:5,800円)
ISBN 978-4-622-01832-2
Cコード C1030
発行日 1980年12月10日
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〈子供〉の誕生

この書は、ヨーロッパ中世から18世紀にいたる期間の、日々の生活への注視・観察から、子供と家族についての〈その時代の感情〉を描く。子供は長い歴史の流れのなかで、独自のモラル・固有の感情をもつ実在として見られたことはなかった。〈子供〉の発見は近代の出来事であり、新しい家族の感情は、そこから芽生えた。

かつて子供は〈小さな大人〉として認知され、家族をこえて濃密な共同の場に属していた。そこは、生命感と多様性とにみちた場であり、ともに遊び、働き、学ぶ〈熱い環境〉であった。だが変化は兆していた。例えば、徒弟修業から学校化への進化は、子供への特別の配慮と、隔離への強い関心をもたらしたように。

著者アリエスは、4世紀にわたる図像記述や墓碑銘、日誌、書簡などの豊かな駆使によって、遊戯や服装の変遷、カリキュラムの発達の姿を描き出し、日常世界を支配している深い感情、mentaliteの叙述に成功している。この書は「子供の歴史への画期的寄与にとどまらず、現代の歴史叙述の最良のもの」(P. Gay)、「この本がなかったなら、われわれの文化は、より貧しいものとなったであろう」(N.Y. Review of Books)と評された。