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精神医学の臨床研究

CLINICAL STUDIES IN PSYCHIATRY


サリヴァンは今日アメリカを代表する精神科医である。本書は、分裂病の入院患者に対する積極的精神療法の成果と、『現代精神医学の概念』を中間的出発点としたサリヴァンの思想の核心である。分裂病と強迫症の章はつとに名高い。

本書のもととなったサリヴァンの講義はチェスナット・ロッジ病院のバラード博士の家で行われた。ごく少数のエキスパートを前に、サリヴァンが一時間話し、つづけて一時間半討論という形が慣わしとなった。「よく私のグレートデンが暖炉の前のベッドに寝そべりにきて、サリヴァンはそれを合図に話し出すのだった。時には問題の解説にこの犬が引き合いに出された。そういう折り、サリヴァンはちょっと話をやめて犬の意見も聞いてみるという具合にその頭をなでてやるのだった。むろん議論が専門的となって白熱した烈しい応酬の行われることもあった。サリヴァンの気分は大きく揺れたが、実はわれわれの方も同様だった。サリヴァンの軽業師のようなみごとな離れ業には讃歎を惜しまなかったが、サリヴァンの話がどうも首尾一貫性を欠くように思えたときは活発な反論が出た。一人も一度も居眠りしなかったのは一種の記録である。サリヴァンが一座を支配しているときに眠る者などはいなかった。……サリヴァンの理論的立場の発展も、それと影が形に添うような、患者の洞察の深化の達成を援ける治療作戦も、共に事実に密着した推論にもとづく一世一代の芸術作品である。」(バラード)


「精神医学の臨床研究」の著訳者:

ハリー・スタック・サリヴァン
Harry Stack Sullivan
1892年アメリカのニューヨーク州中央部に、アイルランド系移民の子として生れる。1917年シカゴ医学校を卒業、軍医を経て1923年頃から1930年にわたりシェパード・アンド・イノック・ブラッり病院に勤務。入院中の分裂病患者に対するインテンシヴな精神療法的接近を試みた。1930年代にはニューヨークで開業医として強迫神経症の治療にあたり、38年に発刊された「サイカイアトリー」の主筆となる。社会科学との交流、政治精神医学という新しい領域への活動を行ったが、1949年国際会議に出席のためパリに滞在中客死した。著書ほ本書のほか『現代精神医学の概念』『精神医学的面接』『分裂病は人間的過程である』『パーソナル・サイコパソロジー』『精神医学と社会科学の融合』『精神医学は対人関係論である』など。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
中井久夫
なかい・ひさお
1934年奈良県に生れる。京都大学医学部卒業。現在甲南大学文学部人間科学科教授。著書『中井久夫著作集―橋神医学の経験』全6巻別巻2(岩崎学術出版社、1984-91)『最終講義―分裂病私見』(みすず書房、1998)エッセイ集『関与と観察』(みすず書房、2005)ほか多数。訳書にエレンベルガー『無意識の発見』上下(共訳、弘文堂、1980)のほか、みすず書房からはサリヴァン『現代精神医学の概念』『楕神医学的面接』『精神医学は対人関係論である』『分裂病ほ人間的過程である』、ハーマン『心的外傷と回復』、バリント『一次愛と精神分析技法』、ヤング『PTSDの医療人類学』(共訳)、『エランベルジェ著作集』(全3巻)、パトナム『解離』、カーディナー『戦争ストレスと神経症』(共訳)がある。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
山口直彦
やまぐち・なおひこ
1939年兵庫県神戸市に生れる。1965年神戸医科大学卒業、。現在兵庫県立光風病院院息院長。論文「分裂病者における「知覚潰乱発作」について」(共著、『分裂病の精神病理』第14巻所収、東京大学出版会、1985)「二重人格はなぜありにくいか」(共著、同第15巻所収、1986)。訳書 サリヴァン『精神医学的面接』(共訳、みすず書房、1986)。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「精神医学の臨床研究」の画像:

精神医学の臨床研究

「精神医学の臨床研究」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/424頁
定価 7,035円(本体6,700円)
ISBN 4-622-02190-0 C3047
1983年9月7日発行

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