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自明性の喪失

分裂病の現象学

DER VERLUST DER NATURLICHEN SELBSTVERSTANDLICHKEIT

Ein Beitrag zur Psychopathologie symptomarmer Schizophrenien


ここに登場するただ一つの症例はアンネ・ラウという女性で、睡眠薬自殺をはかり入院したのは20歳の時であった。「あたりまえ」ということが彼女にはわからなくなった。「ほかの人たちも同じだ」ということが感じられなくなったのである。彼女の自己表現は緻密で、豊かな内容をもっていた。この症例は大多数の臨床病像の基礎にある普遍的なものを、純粋な形で示していた。

人間には、もともと自明性と非自明性とのあいだの弁証法的な運動がそなわっている。疑問をもつということは、われわれの現存在を統合しているひとつの契機である。ただしそれは適度の分量の場合にかぎられる。分裂病者ではこの疑問が過度なものになり、現存在の基盤を掘り崩し、遂には現存在を解体してしまいそうな事態となって、分裂病者はこの疑問のために根底から危機にさらされることになる。分裂病者を危機にさらすもの、それは反面、われわれの実存の本質に属しているものである。だからこそ分裂病はとりわけ人間的な病気であるように思われるのである。

著者は1928年、ドイツのブレーメンに生れた精神病理学者。ビンスヴァンガーの現存在分析を継承しさらに幅広い哲学的考察をすすめる。また新しい精神分析理論、社会精神医学、反精神医学にも深い関心をもつ。テレンバッハと共に現代ドイツの精神病理学界を代表する一人である。


目次



日本語版への序
I 寡症状性分裂病の精神病理学的・臨床的位置づけ
II 「基礎障碍」への問い
III 現象学について
 A 自然的態度の内部での現象学
 B ヤスパース的な意味での現象学
 C フッサールの方向での現象学
 D 生活世界からみた分裂病者の疎外
IV 臨床的経験
V 病歴と面接記録
VI 精神病理学的・疫病学的考察
VII 自然な自明性の喪失に関する精神病理学的問題と人間学的問題
VIII 現象学的解釈
 序論
  1 自然な自明性の背景的・基礎的性格
  2 方法的通路
  3 分裂病性疎外とエポケー
  4 問題の予備的概観
 A 世界との関わり
 B 時熟
 C 自我の構成――自然な自明性と自立
 D 他者――自然な自明性の喪失の間主観的構成の問題
IX 内省的疎外と非内省的疎外
X 総括

訳者あとがき
著者による著作・論文
文献
人名検索


著訳者略歴

ヴォルフガング・ブランケンブルク
Wolfgang Blankenburg

1928年ドイツのブレーメンに生れる。フライブルク大学の文学部でハイデッガー、シラジ、フィンクらについて哲学を、R.ハイスについて心理学を学ぶ。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
木村敏
きむら・びん

1931年生まれ。1955年京都大学医学部卒業。京都大学名誉教授。河合文化教育研究所主任研究員。精神病理学専攻。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
岡本進
おかもと・すすむ

1945年石川県小松市に生れる。1970年京都大学医学部卒業。1973年名古屋市立大学医学部精神科に入局、続いて八事病院勤務。1978年から1980年にかけてドイツ留学。尾西病院精神科部長を経て、現在 岡本病院院長。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
島弘嗣
しま・ひろつぐ

1947年生まれ。1973年京都大学医学部卒業。

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「自明性の喪失」の画像:

自明性の喪失

「自明性の喪失」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/280頁
定価 6,048円(本体5,600円)
ISBN 4-622-02192-7 C3047
1978年7月10日発行

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