精神分析と現存在分析論
PSYCHOANALYSE UND DASEINSANALYTIK
「われわれがフロイトの事実的な諸認識についての陳述や治療の手技についての陳述の真の意味内容に立ち入って深めていけばいくほど、ますますわれわれに明瞭になってくるのは、フロイトの分析のプラクシス全体を――言葉にこそ出さずにひそかにではあったにせよ――直接支えていたのはまさしくハイデガーの現存在分析論が20年の後にあらわにしあからさまに言葉にだしていうことのできた人間への洞察であったということである。」(本文より)
フロイトの精神分析を、ハイデガーの現存在分析論から、読み直し、新しい治療を模索する。ビンスワンガーを評価・批判しながら自己の理論を展開した。画期的な精神医学の書。
「精神分析と現存在分析論」の著訳者:
- メダルト・ボス
- Medard Boss
- 1903年スイスに生まれる。チューリッヒ大学卒業後、パリおよびウィーンの大学に学び、ロンドン、ベルリンでも研究を行っている。心理療法ではフロイト、ユングから直接強い影響をうけた。1930年頃からチューリッヒのブロイラーのもとで研究し、1939年同大学講師、心理療法訓練部長を経て1952年より教授となる。その後、現存在分析研究所を設立し後進の指導にあたっていた。1990年歿。著書『性的倒錯』1947『夢』1953『心身医学入門』1956『東洋の英知と西欧の心理療法』1959(以上4冊邦訳みすず書房、1957、1970、1966、1972)、『医学・心理学概要』1971。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- 笠原嘉
- かさはら・よみし
- 1928年神戸市に生れる。京都大学医学部卒業。精神医学専攻。名古屋大学名誉教授。著書『青年期』(1977、中公新書)『ユキの日記』(1978、みすず書房)『不安の病理』(1981、岩波新書)『精神病と神経症』(1984、みすず書房)『アパシー・シンドローム』(1984、岩波書店)『退却神経症』(1988、講談社現代新書)『外来精神医学から』(1991、みすず書房)『軽症うつ病』(1996、講談社現代新書)『新・精神科医のノート』(1997、みすず書房)『精神病』(1998 岩波新書)。編著『青年の精神病理』(1976、弘文堂)『精神の科学』(1983、岩波講座)『異常心理学講座』(1987、みすず書房)。訳書 ハナ・グリーン『デポラの世界』(1971)『手のことば』(1974)レイン『ひき裂かれた自己』(1971)『狂気と家族』(1972)『経験の政治学』(1973)『自己と他者』(1975)サルズマン『強迫パーソナリティ』(1985)サールズ『ノンヒューマン環境論』(1988)コフート『自己の分析』(1994)『自己の治癒』『自己の修復』(1995)(共訳、以上みすず書房)。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- 三好郁男
- みよし・いくお
- 1930年に生れる。1971年歿。元神戸大学医学部講師(精神医学)。訳書 メダルト・ボス『心身医学入門』(1966)『夢』(1970)(共訳、以上みすず書房)。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
目次
日本版への序文
序言
一 精神分析の実践のありのままの現実
二 精神分析理論にみられる抽象的人間像
A フロイトの理論の抽象性
B フロイトの理論的人間像に精神分析学内部から加えられた修正と発展
C ユンク《観念複合の心理学》がフロイトの理論的人間像に加えた修正
三 精神分析の実践に直接示される具体的人間理解
四 現存在分析論の概要
五 精神分析の実践と現存在分析論的人間理解の一致
六 現存在分析論的人間理解が精神分析の理論と実践に及ぼす影響
A ビンスワンガーの《精神医学的現存在分析》の意義
B 簡約化されない現存在分析論的人間理解の意義
1 現存在分析論と精神分析の諸表象
2 現存在分析論と精神分析の実践
七 結語
補遺
1 《転移》と《行為化》の取扱い方
2 フロイトの《無意識》に関する現存在分析論的考察
訳者あとがき
この本の関連書
「精神分析と現存在分析論」の画像:
「精神分析と現存在分析論」の書籍情報:
- A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/216頁
- 定価 4,725円(本体4,500円)
- ISBN 4-622-02201-X C3047
- 1962年7月25日発行