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母権論 1

古代世界の女性支配に関する研究

DAS MUTTERRECHT


ユングの「グレート・マザー(太母)」の概念の源泉となり、ヘッセ、ベンヤミンにもその影響が見られる本書は、名のみ高くて内容はこれまで定かでなかった。ここにその全貌が、ようやくわれわれの前に明らかとなる。
バッハオーフェン(1815-87)はスイスのバーゼルに生まれ、26歳にしてバーゼル大学ローマ法教授となった。しかし数年で教授を辞し、以後、裁判官としての生涯をおくりながら、在野の学者として『母権論』を始めとする画期的な研究を著わしたのである。バッハオーフェンは歴史法学の思想圏で育まれた偉大なロマニストの一人であり、ドイツ近代法学の祖ともいうべきサヴィニーの深い学問的影響のもとにあった。
彼は、ヘーロドトス、ホメーロス、アイスキュロス、エウリーピデースなど膨大な文献に現れる神話伝承と歴史との関連を探り、父権制以前に母権制が存在したことを発見した。アプロディーテー女神に象徴される自由な性交渉(乱婚制)から、デーメーテール女神に象徴される母権制、アポローン男神に象徴される父権制へ、ギリシア、エジプト、インド、中央アジアにわたる、女性支配の雄大な研究は、まったく類を見ないものである。神話学・法学・民族学・女性学・家族史といった、幅広い分野の関心に答える書といえよう。全3巻。


「母権論 1」の著訳者:

ヨハン・ヤーコプ・バッハオーフェン
Johann Jokob Bachofen
1815年、都市貴族の息子としてバーゼルに生れる。バーゼル、ベルリン、パリ、ケンブリッジの諸大学の法学部で学ぷ。1841年バーゼル大学ローマ法教授。就任講演のテーマは「自然法と歴史的法の対立」であった。1842年バーゼル刑事裁判所判事(-1845)。1844年バーゼル大学を辞職。1945年バーゼル控訴裁判所判事(-1866)。主要著作『古代墳墓の象徴的装飾について』(1859)『タナクィル伝承』(1870)『東洋と西洋の神話』(1926)〔シュレッター編〕。ゲルマニストのJ.グリムと同じく、サヴィニーに深く影響を受けた歴史法学派の一員。歴史学のブルクハルト、文献学のニーチェ等と深い絆で結ばれ、W.ベンヤミン、トーマス・マン、ユング、ヘッセ等にも多大の影響を与えた。エンゲルスが『家族・私有財産・国家の起源』の序文で大きく言及している。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
岡道男
おか・みちお
1931年大阪に生れる。京都大学文学部卒業後、同大学文学研究科に進み、1957年修士課程修了。引続きテュービンゲン大学およびマインツ大学に留学。京都大学文学博士。現在姫路独協大学教授。京都大学名誉教授。マインツ大学西洋古典学科客員教授(1965-1966年および1988-1989年)。西洋古典文学専攻。主要著作『ホメロスにおける伝統の継承と創造』(創文社、1988);Telemachos’Vater,in:Gnomosyne、Munchen(1981);Nox Mihi Candida―Propert.2,15 and Catull.68―,in:Filologia e Forme Letterarie 3,Universita degli studi di Urbino;Achill,der Zerstorer der Stadt―eine Neuerung des Iliasdichters ―,in:Antike und Abendland,Bd.36,1990. 訳書 A.ボナール『ギリシア文明史』I-III(共訳、人文書院、1973-1975)。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
河上倫逸
かわかみ・りんいつ
1945年東京に生れる。京都大学法学部卒業後、同大学法学研究科に進み、1974年同博士課程中退。京都大学法学博士。現在京都大学法学部教授。マックス・プランク・ヨーロッパ法史研究所で在外研究(1978-80)の後、マインツ大学ドイツ研究所(1983-84)およびウィーン大学法学部(1984-85)の客員教授。西洋法制史専攻。主要著作『ドイツ市民思想と法理論―歴史法学とその時代―』(創文社、1978)『法の文化社会史』(ミネルヴァ書房、1989);Die Begrundung des,neuen“gelehrten Rechts durch Savigny,in:Zeitschrift der Savigny-Stiftung fur Rechtsgeschichte、Rom.Abt.,Bd.98(1981);Die Moglichkeiten einer Zeitgeschichte Anhand von Eugen Ehrlichs Biographie und Zustand der Materialienforschung,in:Kyoto Law Review,Vol.124,No.5・6(1989)。訳書 E.エールリッヒ『法社会学の基礎理論』(1984)『法律的論理』(1987、以上共訳、みすず書房)。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「母権論 1」の画像:

母権論 1

「母権論 1」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/544頁
定価 7,140円(本体6,800円)
ISBN 4-622-03786-6 C3010
1991年9月19日発行

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