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精神医学は対人関係論である

THE INTERPERSONAL THEORY OF PSYCHIATRY


本書は、サリヴァンの代表的遺著であり、『現代精神医学の概念』とともにもっともよく読まれ、引き合いに出されることの多い書である。〈精神医学は対人関係論である〉という題名は、その明快さと歯切れのよさによって、サリヴァン精神医学を特徴づけるキャッチフレーズとなり、一世を風靡した。
精神障害を病む患者の多くは、過去や現在の対人関係に苦しんでいる。わが国でも、対人関係の「気づかれ」が病因になるこたは、周知であろう。サリヴァンは、人間の複雑な動態や病因を、実験や薬物ではなく、対人関係を基礎に把えようとす。実際サリヴァンは、患者との面接においても「関与しながらの観察」をおこない、治癒への道をひらいてきた。
本書では、幼児期を中心に児童期、青春期など人間の各発達段階における対人関係の重要性が説かれ、母親役や仲間、社会との歪んだ関係がいかに病因になりうるかが、懇切に示される。なぜ幼児は「おやゆびしゃぶり」をするのか?同性から異性へと関心の移る思春期の心身の変化はどのようなものか?われわれが日頃体験し、出会う場面についても、サリヴァンは明確に答えてくれる。青春期の社会化やその失敗を重くみる点など、フロイトと比べてみるのも、また対人関係のみならず、マイノリティへの関心など、R.D.レインの本と読み併せてみても興味深い。現代の主流の生物学的精神医学への批判の書でもある。


「精神医学は対人関係論である」の著訳者:

ハリー・スタック・サリヴァン
Harry Stack Sullivan
1892年アメリカのニューヨーク州中央部に、アイルランド系移民の子として生れる。1917年シカゴ医学校を卒業、軍医を経て1923年頃から1930年にわたりシェパード・アンド・イノック・プラット病院に勤務、入院中の分裂病患者に対するインテンシヴな精神療法的接近を試みた。1930年代にはニューヨークで開業医として強迫神経症の治療にあたり、38年に発刊されたPsychiatryの主筆となる。社会科学との交流、政治精神医学という新しい領域への活動を行ったが、1949年国際会議に出席のためパリに滞在中客死した。著書は本書のほか『現代精神医学の概念』『精神医学の臨床研究』『分裂病は人間的過程である』『精神医学と社会科学の融合』『パーソナル・サイコパソロジー』『サリヴァンの精神科セミナー』など。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
中井久夫
なかい・ひさお
1934年奈良県に生れる。京都大学医学部卒業。現在神戸大学名誉教授。著書『中井久夫著作集――精神医学の経験』全6巻別巻2(岩崎学術出版社、1984-91)『最終講義――分裂病私見』(みすず書房、1998)『徴侯・記憶・外傷』(みすず書房、2004)ほか多数。訳書としてみすず書房からはサリヴァン『現代精神医学の概念』『精神医学の臨床研究』『分裂病は人間的過程である』『サリヴァンの精神科セミナー』、ハーマン『心的外傷と回復』、バリント『一次愛と精神分析技法』(共訳)、ヤング『PTSDの医療人類学』(共訳)、『エランベルジェ著作集』(全3巷)、パトナム『解離』、カーディナー『戦争ストレスと神経症』(共訳)などのほか、『現代ギリシャ詩選』『カヴァフィス全詩集』ヴァレリー『若きパルク/魅惑』などが刊行されている。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「精神医学は対人関係論である」の画像:

精神医学は対人関係論である

「精神医学は対人関係論である」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/536頁
定価 7,980円(本体7,600円)
ISBN 4-622-04082-4 C3047
2002年2月8日発行

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