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逆転移 1

分裂病精神療法論集

COUNTERTRANSFERENCE AND RELATED SUBJECTS


サールズは本著の論文を通して、分裂病の精神療法過程を入念に描きあげている。とりわけ「逆転移」という表題が示すように、治療者が患者を治療する場面で生じてくる治療者自身の心理的葛藤とその変遷とに、焦点が当てられている。

精神療法中に覚える患者の言動に対する戸惑い、怒り、軽蔑、あるいは慰め、喜び、感謝など、治療者自身の悠情を包み隠すことなく姐上に載せ、この感情に素直に自覚的であるという可能な限りの勇気と誠実こそ、患者にとっても治療者にとっても欠くべからざる治療要因となることをサールズは強調する。そうした30数年にわたる自らの実践を通して、彼が見出したのは、精神科医自身、患者の治療に当たりながら己れをも治療している、すなわち患者に「癒されている」のではないか、という「治療的共生」の観念であった。

全3巻の第1巻にあたる本書は、そのような深い精神療法の中で、治療者=分析家、および治療チームメンバーに生起してくる心理的葛藤を主要に扱った論文を収める。分裂病の精神療法のパイオニアであるサリヴァン、フロム=ライヒマンの流れを継いで、それをいっそう推し進めたサールズのこの論集は、精神分析および精神医学に新しい光を投げかけるであろう。


「逆転移 1」の著訳者:

ハロルド・F・サールズ
Harold F. Searles
1918年生。アメリカ東部ニューヨーク州北部のキャッツキル山地で育った。1943年ハーヴァード大学医学部卒業。1944-51年、ニューヨークホスピタルで一般研修を受けた。内科医として出発したがやがて精神科医に転向し、1950年頃から64年はじめまで、チェスナット・ロッジ病院のスタッフであった。この15年の分裂病者の治療体験が本書に結実している。現在、ワシントン近郊べゼスダで、個人精神療法のオフィスを持ち分析治療を行なっている。著書には、本書のほかに『ノンヒューマン環境論』(1960、邦訳、みすず書房)『精神分裂病論文集』(1965)『境界例患者との私の仕事』(1986)がある。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
松本雅彦
まつもと・まさひこ
1937年に生れる。1964年京都大学医学部卒業。現在、京都光華女子大学勤務。専攻、精神医学。著書、『精神病理学とは何だろうか――増補改訂版』(星和書店、1996)『こころのありか――分裂病の精神病理――』(日本評論社、1998)『精神分裂病――臨床と病理――1』(人文書院、1998)訳書、ガンダーソン『境界パーソナリティ障害』(共訳、岩崎学術出版、1989)ほか。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「逆転移 1」の画像:

逆転移 1

「逆転移 1」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/248頁
定価 5,565円(本体5,300円)
ISBN 4-622-04085-9 C3047
1991年9月27日発行

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