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自己の治癒

HOW DOES ANALYSIS CURE?


シカゴの地で、精神分析の新しい理論の展開に力を尽くしたハインツ・コフートは1981年に惜しまれつつ世を去った。彼が創始した内省と共感の心理学は、多くの支持者を得て今日にいたっている。本書は彼が企てた最後の著作であり、同僚ゴールドバーグらの手で著者の死後出版された。ここには、コフートの思索と実践の到達点が示されている。『自己の分析』『自己の修復』と併せ読めば、自己心理学の世界へのまたとない手引きとなることだろう。

伝統的精神分析と自己心理学との関係を、著者はニュートン物理学と量子力学の関係になぞらえる。フロイト信奉者から浴びせられた「逸脱」という非難に応じるコフートの文章は、自負と緊迫感がみなぎり、読みごたえ十分である。

「治癒の本質は、成熟した自己対象との共感的接触を徐々に獲得すること」――さまざまな苦闘を経て、自らの現在地をかみしめるように語る晩年の著者の人間観は、やはり本質的にあたたかい。


「自己の治癒」の著訳者:

ハインツ・コフート
Heinz Kohut
1913年ウイーンに生まれる。ウイーン大学医学部卒業。同大学医学博士。1940年米国に渡り、シカゴ大学で精神医学と神経学を学ぶかたわらシカゴ精神分析研究所で教育分析を受け、1948年大学卒業後、同研究所教育スタッフとなる、1964年アメリカ精神分析協会会長。自己心理学の立場を確立した。シカゴ大学の精神医学の講師を務め、1972年からシンシナティ大学客員教授も務めた。1981年歿。著書『自己の分析』(水野・笠原監訳、みすず書房1994)、『自己の修復』(本城・笠原監訳、みすず書房1995)など。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
本城秀次
ほんじょう・しゅうじ
1949年京都府生まれ。児童青年精神医学専攻。現在、名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授。論文「家庭内暴力を伴う登校拒否児の臨床精神病理学的研究」など。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
笠原嘉
かさはら・よみし
1928年兵庫県生まれ。京都大学医学部卒業。精神医学専攻。名古屋大学名誉教授。現在、桜クリニック院長。著書『精神科医のノート』(1976)『精神病と神経症』(1984)『外来精神医学から』(1991)『新・精神科医のノート』(1998、以上4点みすず書房)など。編著書、訳書多数。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

目次

はしがき… エリザベス・コフート
序 文…… アーノルド・ゴールドバーグ
 第一部 自己の修復――その反応とその後の思考
第1章 自己心理学の観点からみた分析可能性
重いパーソナリティ障害ならびに行動傷害の分析のあるものは不完全なままで終わるべきか
三種類/精神障害とその分析可能性/精神病/自己愛パーソナリティならびに行動傷害/構造―葛藤性の神経症
第2章 去勢不安の再検討
広場恐怖の再検討
第3章 科学的客観性の問題と精神分析的治癒の理論
何が完全な分析を構成するのか、分析的治癒とは何か
 第二部 精神分析的治癒の本質
第4章 自己‐自己対象関係再考
第5章 分析による治癒効果――自己心理学の発見にもとづく序説
第6章 分析による治癒効果――治癒過程の自己心理学的再評価
分析家の態度、分析的雰囲気、治癒の理論
理解、説明、誤った解釈の与える治癒的衝撃
治癒過程における適量の欲求不満と構造形成
第7章 防衛と抵抗への自己心理学的アプローチ
症例提示――防衛と抵抗への伝統的アプローチ
症例提示――防衛と抵抗への自己心理学的アプローチ
患者の自己の発達/患者の「防衛」と「抵抗」
第8章 自己‐分析的機能についての考察
訓練分析についての考察
第9章 精神分析的治癒における共感の役割
臨床例
共感とそして治癒における説明段階
第10章 自己対象転移と解釈
結語
訳者あとがき
文献/索引

この本の関連書


「自己の治癒」の画像:

自己の治癒

「自己の治癒」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/328頁
定価 7,035円(本体6,700円)
ISBN 4-622-04095-6 C3047
1995年2月9日発行

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