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確実性の終焉

時間と量子論、二つのパラドクスの解決

THE END OF CERTAINTY


時間こそは我々の存在の根本的な次元であるのに、奇妙なことにニュートンによって定式化された自然の基本法則は、「時間の矢」を否定するものであった。それが記述するのは、未来も過去も同じ役割を演じる、時間の欠如した決定論的な宇宙である。今世紀における物理学上の2つの革命、量子力学と相対性理論も、この状況を変えることはなかった。

しかし今や我々は、残された課題である時間と量子論、2つのパラドクスの解決という根本的変化を目撃しつつある。プリゴジンの『存在から発展へ』、『混沌からの秩序』を継ぐ本書が指し示すのは、近年めざましい発展を遂げた非平衡過程の物理学と不安定系の動力学に基づいて、揺らぎやカオスを導入することによって、自然法則の新しい定式化が果たされるということである。そこでは自然の基本的レベルにおいて、時間の流れが導入され、確実性ではなく可能性が、進化発展しつつある宇宙が記述されるに至る。

我々はなぜ自然が歴史をもつかを理解しはじめた。「確実性」は終わり、現実世界の「複雑性」と取り組む21世紀の新しい科学が、ここにその姿を現し始めた。それは、自然という概念や、自然の中での人間の位置に関心をもつ全ての人々にとって、画期的な事態に違いない。


「確実性の終焉」の著訳者:

イリヤ・プリゴジン
Ilya Prigogine
1917年モスクワに生まれる。ブリュッセル自由大学卒業。ブリュッセル自由大学物理化学科教授、ソルヴェー国際物理化学研究所長、テキサス大学統計力学・熱力学研究センター所長を歴任。非平衡熱力学、特に散逸構造理論への貢献によって、1977年ノーベル化学賞受賞。2003年歿。著書『構造・安定性・ゆらぎ』(グランスドルフと共著、みすず書房、1977)『散逸構造』(ニコリスと共著、岩波書店、1980)『混沌からの秩序』(スタンジェールと共著、みすず書房、1987)『複雑性の探究』(ニコリスと共著、みすず書房、1993)『確実性の終焉』(みすず書房、1997)ほか。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
安孫子誠也
あびこ・せいや
1942年東京に生まれる。1964年東京大学理学部物理学科卒業。1975年同大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。現在 聖隷クリストファー大学名誉教授。著書『歴史をたどる物理学』(東京数学社、1981)、『エントロピーとエネルギー』(大月書店、1983)、『エントロピーとは何だろうか』(共著、岩波書店、1985)。訳書 プリゴジン『存在から発展へ』(共訳、みすず書房、1984)、クーン『科学革命における本質的緊張』1・2(共訳、みすず書房、1987/92、合本1998)、ニコリス/プリゴジン『複雑性の探究』(共訳、みすず書房、1993)、プリゴジン『確実性の終焉』(共訳、みすず書房、1997)ほか。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
谷口佳津宏
たにぐち・かづひろ
1957年愛知県に生まれる。1981年東京大学文学部哲学科卒業。1986年東京大学大学院人文科学研究科修了。現在 南山大学教授。著書『哲学への旅――不安への誘い』〔共著、北樹出版)。訳書 エンゲルハート『バイオエシックスの基礎づけ』(共訳、朝日出版社)。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

目次

謝辞
著者序
導入――新しい合理性?
I エピクロスのジレンマ
II 幻にすぎない?
III 確率から不可逆性へ
IV カオスの法則
V ニュートンの法則を超えて
VI 量子論の統一的定式化
VII 自然との対話
VIII 時間は存在に先行するか?
IX 隘路

術語集
訳者あとがき
索引

この本の関連書


「確実性の終焉」の画像:

確実性の終焉

「確実性の終焉」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/216頁
定価 4,515円(本体4,300円)
ISBN 4-622-04108-1 C3042
1997年11月20日発行

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