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サン=テグジュペリ・コレクション 1

南方郵便機

COURRIER SUD


「ぼくは泉を見つけ出した。おぼえているかい? それはジュヌヴィエーヴだ……。」

フランス=アフリカ定期路線を飛ぶ郵便飛行士、ベルニス。見かけだけの安全な日常からの脱出を夢みた彼は、隠された宝を探し求めて杖をさまよわせる《泉の占者》にみずからをたとえて、彷徨をつづける。
飛ぶことと根付くこと、浮遊と居住という両立し難い二つのものの間で引き裂かれるベルニスは、世界と人間とを和解に導く「住まう者」ジュヌヴィエーヴを求めるが、二つの世界の隔たりは埋められることなく、悲劇的な結末へと向かっていく。
サハラの中継基地キャップ・ジュビー飛行場長時代に書かれたこの処女作は、自身の飛行の体験が熟成されて、サン=テグジュペリ独自の思索へと向かう途上にあり、みずからも背反への不安をかかえて方向を模索していた若き日の作者の姿を映し出し、以後の作品にはみられない若い魅力に満ちている。

特別付録 シモーヌ・ド・サン=テグジュペリ「アントワーヌ、わが弟……」


「南方郵便機」の著訳者:

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
Antoine de Saint-Exupery
1900年フランスのリヨンに生まれる。大学入学資格取得後、1921年兵役に服して空軍に入り、翌年、予備少尉に任官。1926年ラテコエール航空会社に入り、ジャン・メルモーズ、アンリ・ギヨメなどと共に、フランス民間航空の開拓者の一人として、不朽の名をとどめる。1932年以後はテスト・パイロット、ジャーナリストとして活躍。1939年、第二次世界大戦勃発とともに予備大尉として召集され、偵察飛行に従事。休戦後は一時アメリカに亡命したが、1943年、北アフリカで再編された原隊に復帰。1944年7月、フランス本土偵察のためコルシカ島ボルゴ基地から出撃後、未帰還となった。ドイツ戦闘機に撃墜されたと推定される。作品に『南方郵便機』(1929)『夜間飛行』(1931、フェミナ賞)『人間の大地』(1939、アカデミー小説大賞)『戦う操縦士』(1942)『ある人質への手紙』(1943)『星の王子さま』(1943)などがあり、1948年には未完の大作『城砦』が刊行された。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
山崎庸一郎
やまさき・よういちろう
1929年生。1953年東京大学文学部仏文科卒業。学習院大学名誉教授。著書『テイヤール・ド・シャルダン』(講談社)、『「星の王子さま」のひと』(新潮文庫)『星の王子さまの秘密』(彌生書房)『愛のファンタスム―アラン・フルニエ試論』(踏青社)『星の王子さまのはるかな旅』(求龍堂)ほか。訳書 ジョルジュ・ベルナノス『悪魔の陽のもとに』(春秋社)ポール・クローデル『眼は聴く』アラン『プロポ1』(みすず書房)シモーヌ・ヴェーユ『カイエ1』(共訳、みすず書房)ほか。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「南方郵便機」の画像:

南方郵便機

「南方郵便機」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/184頁
定価 1,890円(本体1,800円)
ISBN 4-622-04521-4 C0397
2000年6月20日発行

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