サン=テグジュペリ・コレクション 7
心は二十歳さ
戦時の記録 3
ECRITS DE GUERRE 3
「ここでは憎しみに浸かりきりというわけではないが、やはりちょっぴり人間的悲惨を感じている。ともに語り合う人間がだれもいない。……なんという精神的孤独だろう。撃墜されたとしても絶対になに一つ後悔しないつもりだ。未来の蟻塚の世界はわたしを恐怖させる。……」
『戦時の記録』三分冊の最終巻をなす本書は、1943年11月から1944年7月までを収める。北アフリカ、アルジェでの無為の日々から戦列に復帰したサン=テグジュペリは、1944年7月31日、コルシカのボルゴ基地からフランス南部上空の偵察飛行へと飛び立ったまま、未帰還となった。彼が愛してきた、目に見えない絆で結ばれた整いとしての文明の崩壊、その瓦礫と廃墟、蟻塚、人間の砂漠…未来の世界への深い危惧を抱きつつも、「ひとはかならず自分の力の限界までいく義務があるのだ」と、戦闘員としての自分の持ち場に、義務を果たしに戻っていったサン=テグジュペリの最晩年の日々を、多くの証言と資料によって辿る。
「心は二十歳さ」の著訳者:
- アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
- Antoine de Saint-Exupery
- 1900年フランスのリヨンに生まれる。大学入学資格取得後、1921年兵役に服して空軍に入り、翌年、予備少尉に任官。1926年ラテコエール航空会社に入り、ジャン・メルモーズ、アンリ・ギヨメなどと共に、フランス民間航空の開拓者の一人として、不朽の名をとどめる。1932年以後はテスト・パイロット、ジャーナリストとして活躍。1939年、第二次世界大戦勃発とともに予備大尉として召集され、偵察飛行に従事。休戦後は一時アメリカに亡命したが、1943年、北アフリカで再編された原隊に復帰。1944年7月、フランス本土偵察のためコルシカ島ボルゴ基地から出撃後、未帰還となった。ドイツ戦闘機に撃墜されたと推定される。作品に『南方郵便機』(1929)『夜間飛行』(1931、フェミナ賞)『人間の大地』(1939、アカデミー小説大賞)『戦う操縦士』(1942)『ある人質への手紙』(1943)『星の王子さま』(1943)などがあり、1948年には未完の大作『城砦』が刊行された。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- 山崎庸一郎
- やまさき・よういちろう
- 学習院大学名誉教授。著書『テイヤール・ド・シャルダン』(講談社)。『「星の王子さま」のひと』(新潮文庫)、『星の王子さまの秘密』(彌生書房)、『愛のファンタスム―アラン・フルニエ試論』(踏青社)、『星の王子さまのはるかな旅』(求龍堂)ほか。訳書 ジョルジュ・ベルナノス『悪魔の陽のもとに』(春秋社)、ポール・クローデル『眼は聴く』、アラン『プロポ1』(みすず書房)、シモーヌ・ヴェーユ『カイエ1』(共訳、みすず書房)ほか。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
この本の関連書
「心は二十歳さ」の画像:
「心は二十歳さ」の書籍情報:
- 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/264頁
- 定価 2,940円(本体2,800円)
- ISBN 4-622-04527-3 C0398
- 2001年5月22日発行