みすず書房

兄の番人

若き日のジェイムズ・ジョイス

MY BROTHER’S KEEPER

判型 四六判
定価 3,080円 (本体:2,800円)
ISBN 978-4-622-04565-6
Cコード C0098
発行日 1993年10月4日
備考 現在品切
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兄の番人

「本書は、有名な作家と、その存在を世に知られることのなかった弟の関係を見事に描いている……私はこの本を二回読んだ……兄の回想というテーマにとりつかれたスタニスロースは、肌に刺さった刺に苛立ちながらも、彼自身作家となり、兄の作品と並んで書架に永遠の座を占める本の著者となった」(T・S・エリオット)。

スタニはつねに兄の間近にいて行動を共にし、ジェイムズの言動を注視した。余人には不可能な弟の視点から、彼は兄の宗教観の推移やアル中の父親への愛情、家族関係、読書・創作歴、イェイツ等との交友関係、さらに性生活までをも詳細に語り、独自の見解を述べている。とりわけ『ダブリンの人びと』や『若き日の芸術家の肖像』の成立背景を明らかにしている本書は、作家の幼少期から大陸に移り住むまでのダブリン時代を扱ったユニークな回想記であると同時に、この天オの文学理解に欠かせぬ基本的文献となっている。T・S・エリオットの序文とリチャード・エルマンの序論を一読すれば、本書の価値は瞭然である。