みすず書房

日本の言葉

外山滋比古著作集 5

判型 四六判
頁数 344頁
定価 3,300円 (本体:3,000円)
ISBN 978-4-622-04855-8
Cコード C1395
発行日 2002年1月18日
備考 現在品切
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日本の言葉

「本巻に収められた三冊の本が出た1970年代前半は戦後の新しい思想の時代が続いていた。ことばについての関心はほとんどないといってよかった。進歩主義は言語という、土着、伝統の世界を離れたところで、難解な外来の歌をうたっていたのである……外国を基準として日本の文化、社会を判定し、不足する部分、はみ出すところがあれば、非はすべてわが方にありとする素朴な拝外思想は、明治以来、一時的反動の期間をのぞいて、いつもわれわれの社会をしばりつづけてきたといってよい」(著作ノート)。

第5巻には、日本語論ブームに火を点じた画期的な三著作『日本語の論理』『日本語の個性』『日本語の感覚』を収める。日本語は、欧米の言語に認められるアリストテレス以来の線的構造——煉瓦による固い構造——とはちがって、もっと柔らかい豆腐のような、点的構造を特色としてもっている。この独創的な視点から、著者はきわめて刺激的な〈新・日本語論〉を展開している。

目次

 I 日本語の論理
日本語の論理/日本語と創造性/文章構成の原理/思考の組み立て/日本語の姿/言語と思考/島国考
 II 日本語の個性
まえがき/訳せぬ「であろう」/段落の感覚/終りよければ/部屋のうち・そと/中間話法/気になる「あなた」/五脚の椅子/移すということ
 III 日本語の感覚
聴聞の世界/話体について/活字ばかりが言論ではない/コトバと文章/翻訳文化の影/制服を着た思想/近代文化のマスク——印刷/未知を読む/「私」の方法/ざる耳
 著作ノート