サイバネティックスはいかにして生まれたか【新装版】
I AM A MATHEMATICIAN
本書は、『神童から俗人へ――わが幼時と青春』につづく、第二の自伝的回想記である。前著は著者の幼少年期の教育、父との関係、神童であるという異常な体験を主として述べたものであったが、本書は、成人してからの後の人間として、また科学者としての年月を回想、記述したもので、年代的には前著とやや重複する部分、MITに定職を得た頃から第二次大戦を経て、1955年頃までの、後半生のほとんどに及んでいる。
父の勧めによって哲学を専攻したウィーナーは、数理哲学を契機として科学、特に物理学に関連する数学上の問題に自分の真に進むべき方向を見いだし、その分野でのいくつかの業績によって世界の学界で認められるようになり、MITに確実な地歩を築いた。そしてこれにつづく海外の学会、大学、その他への頻繁な旅行は彼の学問上の業績の拡大はもちろん(サイバネティックスは、この間に醸成されていく)人間としての識見を広めていった。事実、第一次大戦後の世界的不況時代から第二次大戦前夜までの欧米の学界、社会の揺れ動く状勢、有名・無名の科学者の印象、インド、中国などの紀行記録に見られるその文化や風俗に対する観察、さらに原爆の日本投下によって受けた深甚なショック、プッシュ・ボタン戦争の予測と科学者の社会的責任問題の喚起など、現代史の重要な一面を鋭く把握し、数多くの問題を堤起している。
「サイバネティックスはいかにして生まれたか【新装版】」の著訳者:
- ノーバート・ウィーナー
- Norbert Wiener
- 1894年生まれ。ポーランド生まれでアメリカに渡ったユダヤ人の言語学者レオ・ウィーナーの長子。天才肌の父のもとで知能早熟児として出発した彼は、9歳でハイスクールに特別入学し14歳でハーヴァード大学に入学、18歳で数理論理学の論文で学位をとる。まもなくイギリスに渡り、ケンブリッジ大学でバートランド・ラッセルから数理哲学と数学を学び、ついでゲッチンゲン大学にも学び、帰米して1919年マサチューセッツ工科大学講師、34年以後同大学の数学教授。30年頃から神経生理学者と共同研究に従事し、計算機械も生物における神経系も同じ構造をもつことを認めその数学的論理としてのサイバネティックスを創始する。1948年『サイバネティックス』(岩波書店、1958)を著して生物学、工学、社会学等広汎な分野に関連し、著者の視野の広さと鋭さを示す。1964年歿。著書に『科学と神』(1965)、『人間機械論』(1979)、『サイバネティックスはいかにして生まれたか』(1983、2002新装版)、『発明』(1994、以上みすず書房)などがある。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- 鎮目恭夫
- しずめ・やすお
- 1925年東京に生まれる。1947年東京大学理学部物理学科卒業。科学思想史専攻、科学評論家。著書『性科学論』『自我と宇宙』『科学と読書』『人間にとって自分とは何か』(みすず書房、1975、1982、1986、1999)。訳書 シュレーディンガー『生命とは何か』(岩波新書、1951、1986)、バナール『歴史における科学』(1955、1956改訂版)、ウィーナー『科学と神』(1965)、バナール『人間の拡張』(共訳、1976)、ウィーナー『人間機械論』(共訳、1979)メダウォー『若き科学者へ』(1981)、ウィーナー『サイバネティックスはいかにして生まれたか』(1983、2002新装版)、ダイソン『多様化世界』(1990)、ウィーナー『発明』(1994、以上みすず書房)ほか。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
この本の関連書
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「サイバネティックスはいかにして生まれたか【新装版】」の書籍情報:
- B6判 タテ182mm×ヨコ128mm/288頁
- 定価 3,045円(本体2,900円)
- ISBN 4-622-05105-2 C1040
- 2002年4月16日発行