みすず書房

中国で清朝政府を打倒した辛亥革命に参加した北一輝は、一九一五年の第三革命の真只中で、この「外史」を書いた。
『古今凡ての革命運動」は「実に思想の戦争にして兵火の勝敗に非ず」と断じた北は、思想と武器によって武装した農民兵士が、民族のエネルギーを爆発させたとき、革命は成る、と予言している。
大陸浪人を冷笑し、日本の対支政策の貪欲、愚弄を痛罵した本書は、ただ一人吉野作造によりその存在を認められたにすぎず、支那革命について書かれた、唯一最高の文献という本書への評価は、戦後になりようやく一般化したものである。
「法案」は大正8年8月、五・四運動渦中の上海で、断食40日にして書き上げたもの。「国家改造案原理大綱」と名づけられ、猶存社より秘密に頒布された。
爾来、二・二六事件で爆発する「昭和維新」運動を決行した青年将校を中心に秘密のうちに読まれた。革命大帝国、持たざる国の権利を不気味なまでに予言した、昭和の超国家主義運動の「我が闘争」が、これである。

目次

凡例

一 支那革命外史
二 国家改造案原理大綱
三 日本改造法案大綱
  改造社版
  西田税版及び補遺
  ヨッフエ君に訓ふる公開状

本巻のテキストについて
解説(野村浩一・今井清一)

〔本書はすべて旧字で表記されています〕