みすず書房

この巻には、従来未公刊であった新発見のものが多く収められ、論文、詩歌、書簡、報告書、建白書、北が関係した事件(宮内省怪文書事件、十五銀行恐喝事件、二・二六事件)の訊問調書、関係者の調書、さらに、同時代仁の北への人物評、著書への評価と批判などが含まれる。
その生存中、天皇側近の牧野伸顕を恐喝した男、私有財産制限論者、政党政治の否定者、ロンドン条約での統帥権干犯問題の黒幕、青年将校の煽動者、クーデター信奉者等々、支配階級にとって忌むべき存在とされていた。北一輝は、逆にこれら「時」の形容を超えて自ら信ずる如き“一貫不惑”の思想家であり、「時代を区画し」幾百年の信念と制度とを一変すべき使命に於て生れた」革命家だったであろうか。浪人・北のビヘイヴィアはいかなるものであったか。本書の内容はこれにこたえるであろう。

目次

凡例

一 論文・詩歌  佐渡時代
二 論文・詩歌  革命評論社時代
三 辛亥革命に関する黒竜会記録
四 宮内省怪文書事件 聴取書、尋問調書
五 十五銀行怪文書事件 聴取書、尋問調書
六 建白書
七 二・二六事件 調書
八 書簡・遺書
九 北一輝語録ほか
一〇 北一輝への人物評(吉野作造ほか)
一一 著書について(片山潜ほか)

年譜
本巻のテキストについて
解説(松本健一・高橋正衛・澤地久枝)

〔本書はすべて旧字で表記されています〕