みすず書房

子規、虚子、松山

判型 四六判
頁数 256頁
定価 2,640円 (本体:2,400円)
ISBN 978-4-622-07004-7
Cコード C1092
発行日 2002年9月13日
備考 現在品切
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子規、虚子、松山

「瀬戸内海を控え、なだらかな山々をめぐらし、程よい広さの平野の中に、松山は昔からたった松山孤りで暮らして来た。外部との激しい交渉は殆どない。謂わば血族だけが一つ所一つ屋根の下に水いらずの生活をしてきたようなものである」
その伊予松山が育んだ俳人に、正岡子規、内藤鳴雪、高浜虚子、河東碧梧桐がいる。そして「子規以来、松山人を中心とし、明治期の新俳句は発祥したし、松山人を中心として受継がれてきた」と語る中村草田男そのひとも、「松山人」の系譜に連なる俳句作家である。「松山で生まれ、中学、高校時代をここで過したことは、私の多感な青年期に大きな影響をもたらしたと思います」
近代俳句を創始し、完成させた同郷の先達ふたりについて、「俳句の都」と冠される故郷について、草田男が折々につづった評論・エッセイを1冊に編んだ。夏目漱石も教えた母校・松山中学のこと、映画人以前の伊丹万作、伊藤大輔との交遊など、在りし日の一城下町の風景が、あざやかによみがえる。

目次

I
明治時代の俳句
正岡子規と現代俳句
松山に於ける子規五十年祭典のこと
「子規の俳句観」印象記
II
高浜虚子
虚子先生のことなど
虚子三句
ゆかりの虚子二三句
師の一句——覚書として
解説——『五百句・五百五十句・六百句』
高浜虚子——文学碑めぐり
III
歴史の町松山
松山の友人たち
伊丹万作の思い出
「坊っちゃん」中学
文学者ゴルキー
松山の道後
父なる自然
五月の島
句碑一つ
松山郵便局

解説 芳賀徹