友愛のポリティックス 1
POLITIQUES DE L’AMITIE
「アリストテレスが深く親しんでいた言葉。おおわが友たちよ、一人も友がいない。」(モンテーニュ「友愛について」より)
ギリシャの賢人による、この最後の言葉、最後の意志、この遺言的格言は、時間の底からわれわれに到来する。低いため息とともに吐き出され、伝承され、翻訳され、たくさんの言葉に移送もされて。しかし、この呼びかけは、おそらく、ある新しい学を求めているのだ。まるでそれが、ある奇妙な文献学を代価として愛されるにまかせることに同意するのは、ある、いまだ来るべき哲学のためでしかないかのように。
本書は、この言葉をめぐって変奏曲のように繰り出される、デリダによる西欧哲学の脱構築である。ニーチェによる転倒(「おおわが敵たちよ、一人も敵がいない!」)、そしてカール・シュミットによる友/敵の究極論理としての「政治的なものの概念」、さらにはフランス革命においてキリスト教の兄弟愛=友愛から排除された女性たち。
冷戦の終焉と呼ばれる事態、世界の政治状況に生じた多くの危機的な変化を見据えながら、驚くべき密度と速度で展開されるデリダの思考を伝える主要著作。全2巻。
「友愛のポリティックス 1」の著訳者:
- ジャック・デリダ
- Jacques Derrida
- アルジェリア生まれ。フランスの思想家。 高等師範学校卒業。脱構築、散種、グラマトロジー、差延などの概念を作り出し、ポスト構造主義を代表する哲学者と目される。『フッサール哲学における発生の問題』から出発、ニーチェやハイデガーの哲学を批判的に発展させた。「脱構築」は文学理論や法哲学などにも影響をおよぼしている。1985年から社会科学高等研究院の教授としてセミナーを実践した。数多い著作のうち、「割礼告白」を含むベニントンとの共著『ジャック・デリダ』、「最強存在の理性」と「来るべき啓蒙の《世界》」の二編を収めた『ならず者たち』などの翻訳は、みすず書房より近く刊行される。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- 鵜飼哲
- うかい・さとし
- 1955年東京に生まれる。京都大学大学院文学研究科卒業。フランス文学・思想専攻。現在、一橋大学大学院言語社会研究科教授。著書『抵抗への招待』(みすず書房、1997)『償いのアルケオロジー』(河出書房新社、1997)ほか。訳書 ジュネ『恋する虜』(共訳、人文書院、1994)『アルベルト・ジャコメッティのアトリエ』(編訳、現代企画室、1999)デリダ『他の岬』(共訳、みすず書房、1993)『盲者の記憶』(同、1998)ほか。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- 大西雅一郎
- おおにし・まさいちろう
- 1955年大阪府に生まれる。東京大学大学院人文科学研究科仏語仏文学博士課程中退。パリ第一大学留学。フランス文学・現代思想専攻。現在、成蹊大学教授。訳書 コフマン『窒息した言葉』(未知谷、1995)ナンシー他『共同―体』(松籟社、1996)ナンシー『哲学の忘却』(同、2000)『神的な様々の場』(同、2001)ルナン他『国民とは何か』(共訳、インスクリプト、1997)ほか。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- 松葉祥一
- まつば・しょういち
- 1955年大阪生まれ。神戸市看護大学教授。著書『来るべき民主主義』(共著、藤原書店、2003)ほか。訳書 バリバール『市民権の哲学』(青土社、2000)、デリダ『友愛のポリティクス』(共訳、 みすず書房、2003)、ランシエール『不和あるいは了解なき了解』(共訳、インスクリプト、2004)ほか。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
この本の関連書
「友愛のポリティックス 1」の画像:
「友愛のポリティックス 1」の書籍情報:
- A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/312頁
- 定価 4,410円(本体4,200円)
- ISBN 4-622-07023-5 C3010
- 2003年2月10日発行