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出版と知のメディア論
エディターシップの歴史と再生
- 著者
- 長谷川一
出版の変容と、知の変遷との関係を、歴史社会学的に分析した本書は、出版、とりわけ「人文書」の現在と未来を考えるとき、指針の役割を果たすものだ。そして、この本自体が水準を越えて優れた〈出版・メディア論〉の「人文書」である。
大学出版部の歴史を論じた第2章では、今まで十分に語られて来なかったさまざまなエピソードがたくさん紹介されていて、出版史をひもとくうえでの必読の章と言えよう。
社会学的考察が状況をよくとらえており、いわゆるメディア産業論的な出版論とは一線を画している。また、今の出版が抱える具体的問題にも要所をとらえて答えている。たとえば、「本が読まれない」という問題についても、出版界の現状に深く立ち入り説得力ある分析が展開されている。
出版の変容は、知の変遷とどのような相互関係があったのか。そして、現在は? 電子化、大市場化を迎えたかつてない激変のなか、出版はどこに向かっているのか。本書は、バイアスのかかった大きな産業化の流れに呑み込まれていく出版の全体状況を睥睨し、その原点をたどり、可能性を問う。歴史と現在を精確に捉えるところから始める、出版の行方を展望する画期的力作だ。
「出版と知のメディア論」の著訳者:
目次
序章
1 出版をいかに対象化するか
2 知‐出版系という問題構制――メディア論の視座
3 本書の構成
1 メディア・知・コミュニティ
1 コミュニティ駆動装置としてのメディア
2 書物をめぐるコミュニケーションとコミュニティ
3 書物とコミュニティ
4 知の世界とコミュニケーション
2 大学と出版のメディア編制――知‐出版系の歴史社会学
1 書物はめぐり、知のコミュニティが生まれる
2 書物と大学――中世から近代まで
3 「大学出版部」の誕生
4 知のコミュニティの生成――大学出版部の20世紀的展開
5 アメリカ、知‐出版系の極北――制度としての大学出版部
3 「作品」としての知――出版の電子化と知の再編成のなかで
1 「出版ロボット」時代
2 オンライン・ジャーナルをめぐって――寡占化とパブリック・ドメイン
3 モノグラフの電子化をめぐって――「本の新たな時代」の未明
4 「作品」としての知
5 知の市場化と出版の電子化
4 「人文書」空間の生成と崩壊――近代日本における知・出版・教養主義
1 出版/読書空間としての日本
2 日本的学術出版システムの特徴
3 「人文書」の定義?
4 「人文書」の「危機」――出版流通システムとその「終焉」
5 電子メディアは「危機」を克服できるか
6 教養主義と「人文書」空間
7 「人文書」空間の崩壊を越えて
終章 エディターシップの再生へ――「コト編み」としての出版
編集者からひとこと
本書は2003年度第25回出版学会賞奨励賞を受賞しました。
「メディアを単なる情報伝達装置として捉えず、「社会のなかに複雑に編みこまれた多層性を帯びた存在」(序章)として捉え、出版現象も固定化した関係のなかでの交渉過程として静的に捉えず、コミュニティを生成する営みと考えるなど、動態的に捉える視座を提示」(http://www.shuppan.jp/show/show25.html)
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この本の関連書
「出版と知のメディア論」の画像:
「出版と知のメディア論」の書籍情報:
- 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/392頁
- 定価 3,675円(本体3,500円)
- ISBN 4-622-07029-4 C1000
- 2003年5月16日発行
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