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生の欲動

神経症から倒錯へ

著者
作田啓一

「酒鬼薔薇少年は特別な人間である」という考察が「人間というこの不可解な生きもの」を探求する連作の始まりだった。それから5年、ジョイスとシュレーバー、悪の類型論、真の自己と二人の大他者、倒錯としてのいじめ、ロマン主義・倒錯・アノミー、ナルシシズムという倒錯、愛の深層、そして豊川主婦刺殺事件を論じた「空虚感からの脱出」まで、本書を通読するとき私たちは、著者の緻密強靭な知性と、自らの経験に裏打ちされた洞察力に圧倒される。

レヴィナス、ラカン、ジジェクらの理論を援用しながらも、本書を貫いているのは著者をとらえて放さない「動機のよくわからない犯罪」への関心である。その後も起こる「少年犯罪」の主たちを、社会の反映としてではなく欲動の犠牲者として見ること。それは被害者の報復感情を無視するのではなく、「社会」に加えて「人間」というパースペクティヴを用いることである。現象の底にある本質を考えるために、人間を生成(becoming)の立場から見るために。社会学の枠を越えた〈作田人間学〉の達成にして現在進行形がここにある。


「生の欲動」の著訳者:

作田啓一
さくた・けいいち
1922年1月生まれ。1948年9月、京都大学文学部哲学科(社会学専攻)卒業。1949年5月から1995年3月まで、三つの大学で社会学の教員を勤める。主著『価値の社会学』(岩波書店、1972、岩波モダンクラシックス、2001)『ジャン-ジャック・ルソー――市民と個人』(人文書院、1980、『増補 ルソー――市民と個人』筑摩叢書、1992)『個人主義の運命――近代小説と社会学』(岩波新書、1981)『ドストエフスキーの世界』(筑摩書房、1988)『生成の社会学をめざして――価値観と性格』(有斐閣、1993)『三次元の人間――生成の思想を語る』(行路社、1995、1998再版)『個人』(〈一語の辞典〉三省堂、1996)など。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「生の欲動」の画像:

生の欲動

「生の欲動」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/304頁
定価 2,940円(本体2,800円)
ISBN 4-622-07060-X C1030
2003年10月6日発行

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