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ピサ詩篇

THE PISAN CANTOS


『荒地』の刊行によって現代詩に一つのエポックをつくったエリオットは、その詩集において、「より巧みなる詩人に」という「献辞」をパウンドに捧げている。しかし、パウンドが世に出したエリオットの名声に比べると、本人の業績はあまり、とりわけ日本では知られていない。外国では、二〇世紀は〈パウンドの世紀〉であると断ずる批評家もいるというのに……

パウンドはその生涯を、一冊の長篇詩集『キャントーズ』の完成に捧げた。これはパウンド一流の視点から眺めた世界歴史であり、そのテーマは〈利子制度の暗い森に入り、人間の誤謬の歴史をくぐり抜け、光明にいたる〉近代社会の歴史批判である。

詩人のこの歴史観はやがてムッソリーニを賛美するにいたり、戦犯としてイタリアの収容所に入れられることになった。この悲惨な体験から生まれたのが、詩人の〈白鳥の歌〉ともいうべき『ピサ詩篇』である。彼はダンテやウェルギリウス、さらには孔子を下敷きにしながら、現代資本主義の欺瞞を批判しつつ、真の〈文化的な社会〉再建を詩的に構想している。広大な歴史意識と抒情的なテンションの高さにおいて、この詩篇はゆうに『荒地』に対抗する権利をもっている。


「ピサ詩篇」の著訳者:

エズラ・パウンド
Ezra Pound
1885年生まれ。アメリカの詩人・批評家。ペンシルヴェニア大学を卒業後、広くヨーロッパを旅行。つねに現代詩の最前線に位置し、実験的な詩作をつづけた。1972年イタリアにて歿。代表作は『ピサ詩篇』を含む『キャントーズ』である。本書に詳細な「関連年譜」あり。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
新倉俊一
にいくら・としかず
1930年生まれ。慶應義塾大学卒。フルブライト留学生としてミネソタ大学大学院に留学。明治学院大学名誉教授。著訳書『西脇順三郎全詩 引喩集成』(筑摩書房)、『西脇順三郎 変容の伝統』(東峰書房)、『エズラ・パウンド詩集』(角川書店)、『エズラ・パウンド詩集』(小沢書店)、『アメリカ詩の世界』(大修館書店)、『エミリー・ディキンソン 不在の肖像』(大修館書店)、『詩人たちの世紀――西脇順三郎とエズラ・パウンド』(みすず書房、ロゲンドルフ賞)ほか。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「ピサ詩篇」の画像:

ピサ詩篇

「ピサ詩篇」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/264頁
定価 5,460円(本体5,200円)
ISBN 4-622-07099-5 C1098
2004年7月15日発行

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