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女たちの絆

BETWEEN WOMEN AND GENERATIONS


回復の見込みを絶たれ、尊厳死を選んだ母。逝く日、母は娘である著者に、その尊厳の証人となるべく本書を執筆するよう約束させた。女らしさの制限に縛られ、夢を見る空間―イマジナリーな領域―をもちえなかった母の尊厳を尊重し、その証人となることではじめて、著者は母の死を悼むことができる。それは、母の世代の女性が尊厳を主張するのをあれほど困難にしていた障害の重みを感じ、母系の連鎖の中にある自分を認識することでもある。母娘関係を核とするこうした縦の絆は、水平的な横の連帯にも発展しなければならない。それは、国籍・文化・社会的立場を異にする女性のあいだにグローバル化がもたらしている軋轢や不理解が、近年のフェミニズム理論と運動の飛躍を阻んでいる、と批判する著者からの提言でもある。

デリダの脱構築を背景に、ラカンの精神分析理論、スピヴァクの歴史への取り組み、カントの『判断力批判』などを縦横無尽に論じつつ、そこに貫かれているのは、亡き母の尊厳を尊重するというコーネル個人の道徳的実践への意思である。この理論に裏付けられた真摯さは、いわゆる「フェミニズム」に抵抗を感じてきた読者をも惹きつけるだろう。フェミニズム理論への斬新な道案内となる書である。


「女たちの絆」の著訳者:

ドゥルシラ・コーネル
Drucilla Cornell
1950年合衆国カリフォルニア州に生まれる。1982年、UCLA にて法学博士をとるが、ドイツ哲学を独学で学び、その後デリダとの親交を深め脱構築主義に対する知見を深めた。現在は、ニュージャージー州のラトガーズ大学の政治学科にて教鞭をとり、ニューヨーク州マンハッタンでは、フェミニストを中心とした反戦団体「未来を取り戻せtake back the future」を主催する。邦訳された著作としては、『正義の根源』(御茶の水書房)、『自由のハートで』(情況出版)、『脱構築と法――適応の彼方へ』(御茶の水書房)がある。また、『ライフライン』『ドリームキュアー』(ともに未邦訳)などの劇作家としても活躍している。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
岡野八代
おかの・やよ
1967年、三重県生まれ。現在立命館大学法学部助教授。主な著書に、『法の政治学――法と正義とフェミニズム』(青土社)、『シティズンシップの政治学――国民・国家主義批判』(白澤社)、訳書にホーニッグ編『ハンナ・アーレントとフェミニズム』(未來社、共訳)がある。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
牟田和恵
むた・かずえ
1956年、福岡県生まれ。現在、大阪大学大学院教授。著書に、『戦略としての家族―近代日本の国民国家形成と女性』(新曜社)、『実践するフェミニズム』(岩波書店)、『ジェンダーで学ぶ社会学』(共編著、世界思想社)、訳書にシーダ・スコッチポル『現代社会革命論―比較歴史社会学の理論と方法』(岩波書店、監訳)などがある。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

目次

日本語版のための序


1 夢を引き継ぐ
はじめに
思い出に礼を尽くして 勇敢だった祖母/祖母とエバ・ペロン/祖母と仕事/祖母の沈黙/五〇年代の女らしさ/プレッシャーから逃れる/ナナの複数の顔/誰が求めたのか?/母が遺してくれたこと

2 女性的なるものの冒険
ジェンダー・性差とイマジナリーな領域内の女性的なるもの
尊厳と欲望 症状に囚われて/尊厳についての精神分析的な考え方/対抗的な分析の物語――精神の病に至るカルディナル/なぜ、ラカンか/ギュアウィッチによるラカン解釈/カントの洞察/フェミニズム・理想自我・人格/ケアという用語をめぐって/性差に何が残っているのか?

3 「証言」とあるべき共同体
彼女の権利を想起する
実践的で崇高なるもの
スピヴァクにおける歴史と実践的崇高性
あるべき者たちの共同体とフェミニストの証言
スピヴァクの歴史が現代フェミニズムにもつ意味

4 尊厳ある労働のための協同――ユニティに向かって
アイデンティティ・地位・表象
ユニティに注目する理由
世俗的啓示――ユニティとのかかわり
合法的侵害とは何か
聞き取ることを学ぶ――ドラマティック・インタヴューとは何か
自分を想像する

5 ユニティの物語
ゾニア・ビラネーバとのインタヴュー/ゾイラ・ロドリゲスとのインタヴュー/モニカ・ディアスとのインタヴュー/アントニエッタとのインタヴュー/M・E・Aとのインタヴュー

6 別れの儀式


訳者あとがき
索引

この本の関連書


「女たちの絆」の画像:

女たちの絆

「女たちの絆」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/376頁
定価 3,675円(本体3,500円)
ISBN 4-622-07142-8 C1010
2005年5月24日発行

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