みすず書房

「今、二年五ヵ月分の毎週のコラムを読み返してみると、自らの歪みを映す鏡を失った社会に対し、これでいいのかと、問題を投げかけた文章が多い。これは京都の山里から、「なぜ怒らないのか」と呼びかけたものである。ひとつひとつの文章が、私ならこんな風に考えるという、貴方なりの社会への批判のきっかけになってほしい」(「あとがき」より)

本書は、「信濃毎日新聞」夕刊連載の好評コラム〈今日の視覚〉、2003年4月から2005年8月末までの122本を一冊にまとめたものであり、『背後にある思考』の続編となる。

PTSD概念の誤用を問う1本目から、東京都杉並区民の署名運動による闘いについて語るラストまで、今まさに何を考えるべきかを綴った、日々の思考の記録である。

権力の暴走、組織の腐敗、社会の歪み、犯罪・事件の背景、戦争とテロ、教育問題、災害支援……。重要な論点が次々と明らかにされる。批判精神を存分に刺激する時評エッセイ集だ。