みすず書房

ならず者たち

VOYOUS

判型 四六判
頁数 336頁
定価 4,840円 (本体:4,400円)
ISBN 978-4-622-07373-4
Cコード C1010
発行日 2009年11月20日
備考 現在品切
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ならず者たち

〈強者の理由がいつでも正しいことになる われわれはすぐにそのことを示そう。〉
「9・11」後の世界情勢の激動へと送り出された本書は、同時代に対する即座の応答であるとともに、プラトンからシュミットに至る主権概念の徹底的な再検討、そしてデリダの後期思想の核心をなす「来たるべき民主主義」論の濃密な展開である。
拷問具にして民主制に本質的な交代の運動としての車輪の形象、民主制の核心に開く遊動の空間、民主主義の他者としてのイスラームからの問い、自己免疫的作用…。〈民主主義といういまだ真新しい、そして、おそらくは、思考されざる古き名のもとに〉、来たるべき民主主義のヴィジョンが回転し、飛躍しつつ精緻に論じられていく。
「ならず者」の名は、それらの論脈の結節点をなす。ならず者国家という概念がその外見に反して早晩消え去る運命にあることをデリダは予告する。
〈民主制の規範的倒錯とデリダが呼ぶものを、その自己免疫的な諸作用を含め、私たちが本格的に生きることになるのはこれからだ(…)本書の考察は、今後この国で起こりうる事態の数々に、貴重な光を投げかけることになるだろう〉(訳者あとがき)。来たるべき民主主義の思考の輪郭をもっとも詳細に伝える、デリダ晩年の主著。

目次

前文 来たれ〔Veni〕 

強者の理性(ならず者国家はあるか?) 
1 自由な車輪 
2 放縦と自由——悪知恵に長けた=車裂きにされた者
3 民主制の他者、代わるがわる——代替と交代 
4 支配と計量
5 自由、平等、兄弟愛、あるいは、いかに標語化せざるべきか 
6 私が後を追う、私がそれであるならず者 
7 神よ、何を言ってはならないのでしょう?来たるべきいかなる言語で?
8 最後の/最低のならず者国家——「来たるべき民主主義」、二回回して開く
9 ならず者国家、より多く/もはやなく 
10 発送 

来たるべき啓蒙の「世界」(例外、計算、主権)
1 目的論と建築術——出来事の中性化 
2 到来すること——国家の(そして戦争および世界戦争の)諸々の終焉に 

訳者あとがき 

書評情報

本橋哲也(東京経済大学教員)
週刊金曜日2009年12月18日号
鵜飼哲・藤本一勇(対談)
週刊読書人2010年1月22日(金)

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