みすず書房

考古学者の父と、ギリシャ・クレタ島出身の母の長女として生まれ、深い愛情によって結ばれた両親の姿を見ながらロンドンで育ったアレクシスは25歳。博物館に勤めだして数年、両親から独立してひとり暮らしをしているが、仕事に確かな手ごたえのつかめないまま、数年来の恋人エドとも、少しずつ噛み合わないものを感じはじめている。
——マムは今の私の年頃にはすでに結婚7年目で、2人の子どもの母親だった。どんな少女時代を送ってきたんだろう、マムは? マムが人生にどんなふうに立ち向かったか、それがわかりさえしたら……
母ソフィアは、結婚前の生活について、夫にも、子どもにもいっさい口を閉ざして語ったことはなかった。休暇でエドとともに訪れたギリシャで、アレクシスは母の過去をもとめて、ひとりクレタ島の小邑プラカへと赴く。ふるさとの村で彼女が知らされたのは、ソフィアの祖母のエレニがハンセン病に罹り、患者を隔離・収容するための沖合の島へ送られて生涯を終えたという、衝撃的な事実だった。
実在するハンセン病コロニーの島を舞台に、複数のプロットがやがてひとつの大きな流れをなす本書は、デビュー作ながら、またたく間に『サンデー・タイムス』のベストセラーの階段を駈け昇り、8週間にわたりトップの座を独占、2007年度「ブリティッシュ・ブック・アワード」の新人賞を獲得した。全2巻。

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