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レクチュール

政治的なものをめぐって

LECTURES 1: Autour du politique


アーレントにヤスパース、ロールズ… よく知られた名前の一方に、フランス語圏で十全な理解と評価を得ていなかったドイツ系ユダヤ人哲学者エリック・ヴェーユ、共産主義政権下のチェコにあってその仕事のごく一部が公刊されていたにすぎなかったいヤン・パトチカがいる。彼らの著作に寄せられた序文や書評など、本書に収められた一連のテクストは、フランス現象学のいわば第二世代を代表する哲学者ポール・リクールの、もうひとつの顔を刻んでいる。フランス思想と、その他の地域の既知・未知の思想との、卓越した橋渡しとしての顔を。
新しい思想に積極的に接近し、それと格闘することでみずからの思索を不断に刷新しつづけたリクールであるが、果実をひとる自分のものとしたのではなかった。
その読書と解釈は、「暴力と政治」という鍵概念を内包する現代世界と切り結ぶ、その道具・武器としての〈知〉を、読む者に届ける。
五月革命や、パレスチナ分割案とイスラエル国家の承認に端を発する中東状況に対する提議など、20世紀の情勢の中で思考されたいくつかのテクストをも加えた、全16篇。


「レクチュール」の著訳者:

ポール・リクール
Paul Ricoeur
1913年フランスに生まれる。パリ大学名誉教授。シカゴ大学名誉教授。哲学者。著書『意志的なものと非意志的なもの』(原著1950/滝浦静雄ほか訳、紀伊國屋書店1995)『フロイトを読む――解釈学試論』(1965/久米博訳、新曜社1982)『生きた隠喩』(1975/久米博訳、岩波書店1984)『時間と物語』(1985/久米博訳、新曜社1982)『他者のような自己自身』(1990/久米博訳、法政大学出版局1996)『政治的なるものをめぐる省察』(合田正人訳、みすず書房より近刊)『記憶・歴史・忘却』(2003/久米博訳、新曜社2005)『脳と心』(2008/ジャン=ピエール・シャンジューとの共著、合田正人・三浦直希共訳、みすず書房)ほか。2005年歿。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
合田正人
ごうだ・まさと
1957年生まれ。東京都立大学博士課程中退。フランス思想、近代ユダヤ思想史。明治大学文学部教授。著書『レヴィナスの思想』(弘文堂1988、改訂・改題『レヴィナス』ちくま学芸文庫2000)『レヴィナスを読む』(NHKブックス1999)『ジャンケレヴィッチ』(みすず書房2003)『サルトル『むかつき』ニートという冒険』(シリーズ「理想の教室」、みすず書房2006)、訳書 レヴィナス『全体性と無限』(国文社1989、改訂版2005)『固有名』(みすず書房1994)『外の主体』(みすず書房1997)ジャンケレヴィッチ『最初と最後のページ』(みすず書房1996)ベルクソン『物質と記憶』(共訳、ちくま学芸文庫2007)デリダ『フッサール哲学における発生の問題』(共訳、みすず書房2007)J-P・シャンジュー / P・リクール『脳と心』(共訳、みすず書房 2008)ほか。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

目次

編者注記
I 政治的逆説
ハンナ・アーレント
哲学から政治へ(1987)
権力と暴力(1989)
『人間の条件』への序文(1983)
ヤン・パトチカ
ヤン・パトチカ レジスタンとしての哲学者(1977)
『歴史哲学についての異端的論考』への序文(1981)
ヤン・パトチカとニヒリズム(1990)
エリック・ヴェーユ
エリック・ヴェーユの『政治哲学』(1957)
カール・ヤスパース
ドイツの罪障性(1949)
実存を解明する(1986)

II 政治的言語、社会的正義をめぐる省察
合法的なものと善きものに挟まれた正しきもの(1991)
ジョン・ロールズ――道徳的自律から社会契約の虚構へ(1990)

III 実践的叡智
倫理と政治(1959)
倫理と道徳(1990)

IV 情勢
「中国、開かれた扉」についての批判的覚書(1956)
イスラエルについての困惑(1951)
大学における改革と革命(1968)

初出一覧
訳者あとがき

書評情報

杉村靖彦(京都大学大学院准教授)
<2010年2月13日(土):図書新聞>

この本の関連書


「レクチュール」の画像:

レクチュール

「レクチュール」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/296頁
定価 5,880円(本体5,600円)
ISBN 978-4-622-07449-6 C3010
2009年9月15日発行

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