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武田泰淳と竹内好

近代日本にとっての中国

著者
渡邊一民

「戦後文学の圧倒的影響下に精神形成をとげたわたしにとって、このふたりは早くから親しんできた文学者である。しかしあらためて近代日本にとっての中国という問題意識をもっておびただしい資料を読みすすんでいくうち、1930年代から70年代末までの半世紀くらいのあいだ、中国と日本の問題を一貫して考えつづけてきたのは、結局このふたり以外にはなかったということを、わたしは痛感させられたのであった」
戦中に『司馬遷』を刊行した武田泰淳。同じく戦中に『魯迅』を刊行した竹内好。1935年、中国文学研究会創立メンバーとして『中国文学月報』を創刊した彼らは、「近代中国を理解する先駆け」であるとともに、中国戦線に送られた「侵略者たる兵士」でもあり、また敗戦を迎えたのはともに大陸においてであった。
晩年の大作『富士』にいたるまで敗戦という滅亡経験と「死者のまなざし」を小説世界のなかで深く掘り下げつづけた作家。そして日本の近代主義から脱落した民族的、国民的またアジア的な実質をラディカルに問いなおし、市民運動に身を投じた思想家。ふたりの生涯にわたる作品群、思想的営為を交差的にたどりつつ、日本人にとっての「他者」中国を浮き彫りにする昭和精神史。


「武田泰淳と竹内好」の著訳者:

渡邊一民
わたなべ・かずたみ
1932年東京生まれ。東京大学文学部佛文学科卒。近現代フランス文学専攻。立教大学名誉教授。著書『神話への抵抗』(思潮社1968)『ドレーフュス事件』(筑摩書房1972)『近代日本の知識人』(筑摩書房1976)『岸田國士論』(岩波書店1982)『ナショナリズムの両義性――若い友人への手紙』(人文書院1984)『林達夫とその時代』(岩波書店1988)『故郷論』(筑摩書房1992)『フランスの誘惑――近代日本精神史試論』(岩波書店1995)『〈他者〉としての朝鮮 文学的考察』(岩波書店2003)『中島敦論』(みすず書房2005)ほか。訳書サン=テグジュペリ『人生に意味を』(みすず書房)、ベルナノス『田舎司祭の日記』(春秋社)、フーコー『言葉と物』(共訳・新潮社)ほか多数。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

目次

I 戦時下の十年
1 中国と日本
2 『中国文学月報』
3 日中戦争
4 中国文学研究会と支那学派
5 大東亜戦争
6 『司馬遷』
7 『魯迅』
8 戦争末期の上海

II 「戦後」
1 上海における敗戦
2 「中国の近代と日本の近代」
3 国民文学論争
4 『風媒花』
5 『歴史』と『時間』

III 一九六〇年前後
1 バンドン会議
2 『森と湖のまつり』
3 「近代の超克」
4 安保闘争
5 アジア主義

IV 「文革」の時代 
1 文化大革命
2 『秋風秋雨人を愁殺す』
3 「わが子キリスト」
4 雑誌『中国』
5 『富士』

エピローグ
あとがき
索引

書評情報

岩崎稔(東京外国語大学教授)
<2010年3月21日(日):日経新聞>
川西政明(文芸評論家)
<2010年3月28日(日):東京新聞>
著者インタビュー<2010年5月号:文学界>
鈴木将久(明治大学教員・中国近代文学)
<2010年5月8日(日):図書新聞>
苅部直<2010年5月号:文藝春秋>
野家啓一(科学哲学者)
<2010年5月23日(日):読売新聞>
八柏龍紀(批評家(社会哲学))
<2010年5月14日号(798号):週刊金曜日>

この本の関連書


「武田泰淳と竹内好」の画像:

武田泰淳と竹内好

「武田泰淳と竹内好」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/336頁
定価 3,990円(本体3,800円)
ISBN 978-4-622-07515-8 C1095
2010年2月24日発行

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