みすず書房

進化史に飛躍的な変化をもたらした10のエッセンスを核に、生命の来歴の豊穣な物語を描きあげた一冊。高い評価を得た前著同様、レーンは最大級の謎の数々に大胆かつ周到に挑んでいる。
10の革命的「発明」とは、生命の誕生/DNA/光合成/複雑な細胞/有性生殖/運動/視覚/温血性/意識/死。これらはいかに地上に生じ、いかに生物界を変容させたのか? 各一章を割き、最新の科学的解釈、および研究最前線に浮かぶスリリングな仮説や手がかりを語り、それらがわれわれにとって意味するものを問いかける。
たとえばダーウィン以来研究者を悩ませてきた眼や、Z機構と呼ばれる光合成の仕組みは精巧そのものだ。そうした、一見奇跡の業とも思える精密機械の進化を語るとき、レーンの筆はいよいよ冴えわたる。
「世界のあらゆる驚異は、偶然と必然の両方を内包した、ただ一度の出来事に端を発しているのである。」著者はこれを例証すべく、ミクロな事実とマクロな進化を結びつける偶然と必然の両方に、鮮やかな具体像を与えている。それは生命進化の謎への“最終回答”ではない。むしろ、さらなる探究への刺激に満ちており、「科学の目的は実に化け物を捜し出すことなのである」という言を思い起こさせる書だ。

目次

はじめに 進化の10大発明
1 生命の誕生——変転する地球から生まれた
2 DNA——生命の暗号(コード)
3 光合成——太陽に呼び起こされて
4 複雑な細胞——運命の出会い
5 有性生殖——地上最大の賭け
6 運動——力と栄光
7 視覚——盲目の国から
8 温血性——エネルギーの壁を打ち破る
9 意識——人間の心のルーツ
10 死——不死には代償がある
エピローグ

謝辞
訳者あとがき
図版リスト
参考文献
索引

書評情報

池谷裕二(脳研究者、東大准教授)
読売新聞2011年1月30日(日)
Dain
週刊アスキー2011年3月22-29日号
丸山敬(埼玉医科大学)
日経サイエンス2011年4月号
原田泰(大和総研専務理事チーフエコノミスト)
週刊東洋経済2011年3月26日号
内山節(哲学者)
北海道新聞2011年4月10日(日)
聖教新聞
2011年3月23日
斉藤隆央
WIREDvol. 4(2012年6月号)

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